バーコードリーダの最新動向

バーコードリーダの最新動向

概要

バーコードシステムが米国シンシナティのスーパーで初めて使用されてからおよそ35年になる。

その後、バーコードは、製造、物流、小売、娯楽、行政、病院、教育等、様々な分野で使用され、自動認識技術の中心的技術になっている。

このような発展を遂げた背景には、安価で優れた性能のバーコードリーダの存在がある。

 

そのバーコードリーダが、今後、どのように発展していくかについて説明する。

ペンスキャナの最新動向

ペンスキャナの光源は、昔は、タングステンランプが使用されていたが、発熱が大きいこと、寿命が短いことから、1980年頃からLEDに変わった。

当初は、発光出力が大きい赤外LEDが主流となっていたが、有色ラベルや感熱ラベルの読取ができない問題があった。

その後、赤色LEDの発行出力が改善されるとともに赤色LEDが主流になった。

 

ペンスキャナは、最も低価格なバーコードリーダの代表であったが、CCDスキャナやレーザスキャナが大量生産により安価になったことから、これらと価格差が少なくなってしまった。

したがって、現在では、バッテリーを内蔵して携帯電話やスマホなどの省電力の要求が高い機器に接続する場合や、バーコードメニューシートの読み取りなどペンスキャナの特性が生きる特定のアプリケーションに限定され使用されている。

ペンスキャナは、その形状からペンスキャナと呼ばれているが、本来、方式分類としてはマニュアルスキャナと呼ぶべきである。

 

マニュアルスキャナは、シンプルな光学系による価格メリット、及び、ペンの形状による操作性と携帯性に特長があったが、近年、価格面では、CCDスキャナの方が安価になった。

CCDスキャナの最新動向

CCDスキャナは、日本では、タッチスキャナとも呼ばれてバーコードリーダの主流となっている。

日本でこれほどまでに普及した背景には、バーコードにタッチして読むという操作が日本的感覚にマッチしたのと、レーザスキャナより安価であったことに起因している。

現在、CCDスキャナは、台湾メーカがより安価に生産して世界中に供給しており、世界的な方式となっている。

 

最近、CCDスキャナは、米国に渡ってガンタイプのレーザスキャナ文化と融合し、遠隔読取用のリニアイメージャとして発展してきている。

遠隔読取では、バーコードを素早く狙って読むための形状にすることが重要であるためガンタイプのCCDスキャナが開発されたのである。

CCDスキャナで遠隔読取する場合は、照準が問題であったが、高輝度のLEDをレンズで集光してレーザラインのように改良した。

 

読取距離は、数十センチであるが、レーザスキャナのようにムービングパーツがないので、安価で高耐久性のリーダが特徴になっている。

今後は、従来の接触読取の分野では、低価格化がいっそう進むと思われる。

一方、遠隔読取を可能にしたリニアイメージャは、真っ向からレーザスキャンと競争することになると思われる。

 

最新のリニアイメージャは、数センチから1m近くまでの遠隔読取が出来るようになっているので、この勝負は、きっと激しいものになるであろう。

更に、照準機能にレーザを搭載し、見かけはレーザスキャナであるが、読取はCCDというハイブリッドリーダが開発されているので、ますますレーザとの差がなくなっている。

携帯電話やスマートフォンにバーコードを表示して、クーポンやポイントサービスに利用されている。

 

このモバイルシンボルは、レーザスキャナでは読取が困難であるが、リニアイメージャは容易に読取できるので、モバイル分野で広く普及すると思われる。

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レーザスキャナの最新動向

レーザスキャナは、当初He-Neレーザを使用していたが、大きく重いこと、高圧電源が必要であること、そして、寿命が短いことから、1980年頃から半導体レーザに変わって行った。

初期は、赤外光の半導体レーザを使用していたため、有色ラベルや感熱ラベルが読取できず産業分野に限定されていた。

そして、1985年頃に赤色半導体レーザが登場したことにより、He-Neレーザは、バーコードリーダの世界から消えて行った。

 

レーザスキャナは、レーザを使用していることから高価なイメージがあったが、半導体レーザの低価格化と光学系のモジュール化により大幅なコストダウンが図られ、CCDスキャナと並んでポピュラーなバーコードリーダになった。

米国では、昔からガンタイプのレーザスキャナが多く使用されてきたが、日本でもFAや物流分野で遠隔かつ大きな読取幅のリーダの要求が高くなったことからガンタイプのレーザスキャナが広く使用されるようになった。

そして、現在、レーザスキャナモジュールは、数センチ四方のサイズまで小型化され、今後は、マイクロマシン技術により1センチ四方以下にサイズになると思われる。

 

このサイズになると、携帯電話やマウスなど様々な機器に機器に見込むことができるので、コンシューマ製品に展開される可能性がある。

今後のレーザスキャナは、読取距離の視点ではリニアイメージャに、操作性の視点では2次元イメージャに追撃されようとしている。

したがって、スキャナのモジュール化により小型化と低価格化を加速させることになるであろう。

 

具体的には、スマートフォンやタブレットに接続するポケットサイズのコードレスリーダなどがある。

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2次元イメージャの最新動向

マトリックス型の2次元シンボルの登場は、バーコードリーダの歴史を大きく変えた。

マトリックス型シンボルは、マトリックス上のセルの位置を特定しなければならないので、レーザスキャナで読み取ることは困難である。

レーザスキャナで読み取るためには、非常に細かいステップでレーザをスキャンしてイメージ画像を取得しなければならないからである。

 

しかし、カメラを使用した2二次元イメージャでは、容易にシンボルのイメージを取得することができる。

2次元イメージャでは、如何にシャープな像をセンサー上に映し出すか、そして、如何に早く画像処理を行いデコードするかが勝負となる。

シャープな像を映し出すためには、焦点合わせが重要で、そのために、シンボルにタッチすれば自動的に焦点が合う接触型とLEDやレーザによる焦点合わせ機能を搭載した遠隔型がある。

 

最近は、画総数の増加と画像処理能力の向上により、レーザスキャナのように焦点調整なく読取りできるようになった。

デコード時間の短縮には、画像処理に高速演算チップDSP(Digital Signal Processor)を使用している。

また、2次元シンボルの構造上の利点を生かしてソフト的にデコード時間の短縮が図られている。

 

例えば、シンボル抽出用の切り出しマークやシンボル角度検出用のマークを認識したり、学習機能により読取シンボルを予め特定して解読したりしている。

2次元イメージャは、バーコード、2次元シンボル、OCR、サイン等、様々なメディアを読み取りできるので、機能面で、今後、バーコードリーダの主流になっていく可能性がある。

更に、携帯電話やスマホでバーコードが読めるようになっていることから、2次元イメージャがバーコードリーダの主流になる時期は遠くない。

 

2次元イメージャは、シンボルの方向に左右されない素晴らしい特徴をもっているが、安価な数十万画素のリーダでは、大きなエリアを読み取ることができない。

そこで、標準焦点、高分解能焦点など、焦点距離によりモデル分けされている。

しかし、将来、数百万画素のセンサーが使用されるようになれば、レーザスキャナのような広い読取エリアで、より高密度の大容量のシンボルを読み取ることができるようになる。

 

また、携帯電話やスマートフォンにモバイルバーコードを表示し、クーポンやポイント管理に使用するようになってきている。

2次元イメージャは、商品バーコードとモバイルシンボルの両方を読み取ることができるので、リテイルでは2次元イメージャが広く普及すると思われる。

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提供:アイニックス株式会社


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。