バーコードの役割
バーコードは、情報システムに対する入力手段としては、早い入力速度、優れた読取率、低い誤読率、安価なメディア、安価なバーコード関連機器等の特長により、幅広く利用されている。
そこで、バーコードが情報システムな中で果たしている役割について説明する。
早く正確に入力するため
バーコードは、約50年前に考案されたが、その目的は、キーボード入力からの開放であった。
キーボードは、極めて安価でシンプルな入力機器であるが、入力が遅い、入力ミスが多い、等の問題があるため、今日まで自動的にデータ入力する方法(自動認識技術)が研究されてきた。
そして、バーコード、2次元シンボル、OCR、OMR、磁気カード、RF-ID、音声認識、バイオメトリックス等が開発されてきた。
情報システムにとって、データ入力の速度と精度は、極めて重要なテーマである。
なぜなら、どんな素晴らしいコンセプトや設計に基づくシステムであっても、どんなに処理速度が優れていても、データ入力が遅かったり入力したデータに間違いがあったら、システムとして機能しなくなるからである。
したがって、早く正確にデータ入力するというテーマは、情報システムの永遠のテーマと言える。
データを早く正確に入力することの利点は、POSシステムを見ると理解し易い。
レジにバーコードを使用することによって、チェックが早く正確になったことは、顧客にとって大きなメリットであったが、店にとっても在庫数や売上金額が直ちに把握できるという大きなメリットを持たしている。
バーコードを使用しない時は、在庫数は、店の在庫を数える以外に方法はなく、また、請求金額の入力ミスにより、顧客に少なく請求して損をしたり、多く請求して迷惑をかけていた訳であるから、バーコード利用のメリットは大きい。
IDとしての利用
POSに使用されるJANコードは、製品名や価格等の製品情報がコード化されている訳ではなく、2桁の国コード、5桁(または7桁)の事業者コード、5桁(または3桁)の商品コード、そして、チェックデジットが、ID番号としてコード化されているにすぎない。
したがって、JANコードを読むだけでは、製品名も価格もわからないのである。
製品名や価格は、事前に登録されたデータベースを検索することによって初めてわかるのである。
このように、バーコードをデータベース検索のID番号として利用する方法が最も一般的な利用方法である。
バーコードをID番号として利用することは、バーコードを小さくすることができ、また、データベースの変更により常に最新の情報を利用することができる。
バーコードにするID情報としては、商品コード、注文番号、納品番号、図面番号、生産管理番号、作業指示番号、シリアル番号等が利用される。
ポータブルデータベースとして利用
もう一つのバーコードの利用方法は、データベースの情報をそのままバーコードにする方法である。
例えば、物流標準シンボルITFにおけるアドオンコードは、重量や体積等をそのままバーコードにしている。
また、日本電子情報産業技術協会(JEITA)のEIAJラベルでは、数量をバーコードにしている。
バーコードが直接情報を持つことになると、データベースのない場所やオフラインでもそのデータを利用することができる。
また、例えデータベースにアクセスできる環境であっても、ネットワークの障害に影響されず、信頼性の高いシステムになる。
更に、データベースをアクセスする頻度が少なくなることは、ネットワークのトラフィックを軽減し、レスポンスを改善することができる。
バーコードは、情報量が少なく、また、英数字までしかコード化できないので、データベースをバーコード化することには適していない。
しかし、2次元シンボルやRFIDは、情報量が大きく、かな漢字まで使用できることから、ポータブルデータベースとしての利用が容易である。