“バーキン風”のニセバッグ販売 容疑の中国人逮捕 警視庁【知財ニュース...

“バーキン風”のニセバッグ販売 容疑の中国人逮捕 警視庁【知財ニュース拾い読み】

産経ニュース – 2017/2/20 – http://www.sankei.com/affairs/news/170220/afr1702200018-n1.html

 

記事では、有名ブランド「エルメス」の高級バッグ「バーキン」の偽物の販売により、商標法違反で逮捕者が出た事例が紹介されています。

エルメスは、かばん等について「Birkin」の登録商標(第4384061号)を持っています。

登録商標「Birkin」は、日本では、声に出すと「バーキン」です。よって、「バーキン風オーダーバッグ」として偽物を販売していた場合、エルメスの商標権を侵害します。

 

では、「バーキン」や「バーキン風」といった語句を用いずにバーキンの偽物を販売すれば商標法上問題ないのかというと、そうではありません。

エルメスは、バーキンについて、立体商標の登録商標(第5438059号)を持っています。

立体商標とは、文字通り、立体的な形状からなる商標です。

このため、バーキンの偽物を「バーキン」等の語句を用いずに販売したとしても、エルメスの商標権を侵害することになります(その他、不正競争防止法上の問題もあります)。

 

なお、かばん等の意匠は、意匠権によって保護を図ることが通常です。

しかし、エルメスのバーキンのように、立体商標によって商標権でも保護することが可能です。

そして、意匠権が設定登録から20年で消滅してしまうのに対し、商標権では、10年毎の更新によって半永久的に権利を維持することができるというメリットがあります。

ただし、立体商標で保護されるのは、需要者が一目でどこの商品かを判別できるレベルの十分な識別性を獲得しているものに限られていますので、商標権を取得するハードルは通常の商標よりも高くなっています。

 

また、エルメスは、バーキンの他にも、ケリー(第5438058号)、エブリン(第4766204号)、コンスタンス(第4770984号)の立体商標についても、登録商標を取得しています。

エルメス以外の立体商標の登録例としては、コカコーラの瓶、ヤクルトの容器、不二家のペコちゃん、ケンタッキーのカーネル・サンダースの像、ホンダのカブ等が有名です。

出典:『“バーキン風”のニセバッグ販売 容疑の中国人逮捕 警視庁【知財ニュース拾い読み】』(『発明plus〔旧:開発NEXT〕)


弁理士。コスモス国際特許商標事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。知的財産権の取得業務だけでなく知的財産権を活用した製品作りの商品開発コンサルタントを行う。知財マッチングを展開し、ものづくり企業の地方創世の救世主として活躍している。著書に『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)、『理系のための特許法』(中央経済社)等がある。 特許・商標の活用を応援するWEBマガジン「発明plus Web」( https://hatsumei-plus.jp/ )を運営している。