トヨタ式問題解決|元トヨタマンの目
トヨタ式問題解決の特徴は、「目標設定」にある。
目標設定は、「必要性」のみを考えて決める。
そして設定された目標を達成すれば、その「必要性」がすべて解消されるほど高い目標でなくてはならない。
それもイジイジせず、ズバッと決める。
その際、「できるかどうか」は一切考えてはいけない。
それは次のような話からきている。
ジャスト・イン・タイムを実現させるためには、組立ラインの車両の流し方を種類別にバラバラに流さなければならない。
しかし、多くの前工程が段取り時間に2時間も3時間もかけていたら、まったく意味を成さない。
そこで、段取りで機械を停止する時間を圧倒的に短縮する必要性が生じた。
そしてトヨタのプレス現場が、血の出るような努力の結果、やっと1時間まで短縮した。
製造部長が喜び勇んで、そのことを大野氏に報告に行った。
そうすると大野氏は、「次は10分未満でできるようにしろ」と命令された。
まさに「必要性」のみからの目標設定が為されたわけだ。
しかしそんなものできるわけがない。
現場は途方に暮れた。
普通の会社なら「あほなこと言うな」とばかりに、いくらトップからのものでも、そんな目標は無視するだろう。
ところが、トヨタの愚直な現場は、それに真剣に取り組み、ついに実現してしまったのだ。
このようにトヨタは、未知なる目標に挑戦し続けてきた。
世間からは「トヨタは乾いたタオルをまだ絞る」と言われたが、それは世間の目標設定の仕方がトヨタほど未来をみていなかったことによる。
目標設定が甘いと、タオルには水分がないと見えてしまうのだ。
現在のトヨタは苦しんでいる。
問題山積で、問題解決を行なわなければならない。
しかし我々の時代にはきっちりできていたのだから、そこに戻るだけでいい。
未知なるものに挑戦する必要はなく、過去と現在の差を見つけ出して過去に戻すだけでいいのだ。
こんなの簡単だ。