トヨタの管理指標の精度は驚くほど高い!|元トヨタマンの目
トヨタは直接作業者の工数を次のように分類し把握する。作業時間を実働時間と不働時間との2つに大別する。
実働時間はさらに直接作業時間と間接作業時間に分けられる。
不働時間はさらに手待ち時間(ラインストップ等により作業ができない時間)と離業時間(健康診断、組合離業など有給で作業を離れる時間)に分けられる。
直接作業時間はさらに実際に製品を造る時間、生産技術部等の依頼によりサンプル品などを造る時間に分類される。
間接作業時間はさらに検査時間、記録進行時間、運搬整備時間に分類される。
このように細かく分類して工数を把握できるのは、平準化されて製品が流れてきて、すべての作業が標準作業化されているからこそだ。
集計方法は実際に製品を造る時間以外のそれぞれの作業の時間を把握しておき、総工数からその把握した時間をマイナスする。そうすれば実際に製品を造る時間を算出することができる。
このように細かく分類して工数を把握できるのは、平準化されて製品が流れてきて、すべての作業が標準作業化されているからこそだ。
工場に製品の流れがなく、ロット生産を行なっている会社で、このような分類で工数を把握しようと思ったら、すべての項目を把握していかなければならず、不可能だと思う。
トヨタの原価計算、原価管理、生産性評価はすべてこのような精度の高いデータを使用して成り立っている。したがってこれらの管理数値、指標が現場に示されると、現場はその精度に疑問を持つ必要がないため、即時に問題解決活動に邁進できる。
この精度の悪い会社の場合、現場は「数値間違いの検証」、いわゆる濡れ衣をはらすことに多くのエネルギーを費やすことになってしまうであろう。
生産方式をいい加減にしたままだと、原価管理などいわゆる経営管理活動自体が無駄な工数の発生マシンになってしまう。
枝葉に目を奪われず、なぜ? なぜ? なぜ?……で真因を追究し、そこに対策を打っていけば、枝葉の部分は自然に消滅してしまう。