トヨタの品質検査

トヨタの品質検査

トヨタは全ての工程で全数検査を行って、良品だけを後工程に流す。

全数検査をするといっても、工数をかけていては他社とのコスト競争に勝てない。

どうしているかというと、定期的にあんどんが点灯して、作業者を呼び検査させるのだ。

 

作業者が検査して、もし不良品が見つかったとする。

一回前の検査では、良品だったのだから、その検査後のどこからか不良品が発生し出したのだ。

 

作業者はその発生の初品を見つけ出すため、ライン上の製品を1つ1つ後の方へ調べていく。

そして初品が発見されたら、不良品をすべてラインから排除し手直しをするか廃却する。

こうすれば、抜取検査と同じ工数で、全数検査をしたことになる。

こうやってトヨタ品質は確保されるのだ。

 

しかしこのようなことが可能なのは、トヨタの製造ラインがすべて1個流しになっていて、不要な在庫は1つもないため、さかのぼっての調査が容易にできるからだ。

 

21世紀の現在でも、大企業なのにロット生産をしている工場を多く見たが、このような工場で不良が発生したら在庫だらけで、どこが不良の初品かを調べることは非常に大変になる。

結局、不良品が流出してしまうことになる。

 

品質向上に王道はない。

このような会社も、1個流しから地道に着手していくしかない。

このような会社も広い意味でトヨタと競争している。

早くなんとかしないと大変なことになる。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。