トヨタの一般会社にない機能|元トヨタマンの目

トヨタの一般会社にない機能|元トヨタマンの目

1.人事部……技能員調整機能

トヨタは1ヶ月に1回生産量変動させる。

トヨタのすべての工程は生産が増えれば多くの要員を必要とし、逆に生産が減れば少ない要員で運営できるようにしてある。

したがって、毎月、各工程別に現状の人員より要員が必要になったり、いらなくなったりする。

人事部がその調整をする。

部品メーカーからも余剰人員を受け入れている。

 

2.販売部……生産制約を考慮した生産依頼

ある月の月末には、翌月1ヶ月間の生産数量を色物やオプションに至るまですべて決めて工場へ生産依頼しなければならない。

そしてすべての車両の生産をその1ヶ月間は日当り同じにして、すべての工程、部品メーカーへ「内示数」というかたちで示す。

そしてその月の生産活動が始まって、お客様からのオーダーが入って来るのだが、やはり「内示数」と「確定数」の乖離が生じる。

種類の変更は3%程度まで受け入れられるが、要員数の変更を伴うような量の増産は絶対にできず、結局来月回しとなる。

(さらに月の中間で種類変更を受け付ける「旬の計画変更」のルールもあるが、極端な変更はできない)

トヨタ生産方式はこのような販売部門の協力の上に成り立っている。

一般の会社の販売部は、トヨタほどの生産制約はないと思う。

そうなると、工場に在庫増などの多くの不効率を発生させてしまうし、生産リードタイムも遅くなる。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。