トヨタの「安全」「品質」の確保方法

トヨタの「安全」「品質」の確保方法

<トヨタの「安全」「品質」の確保方法>

1.1個流しラインを作る(ロット生産のままは論外)。

 

2.1ヶ月間の日当り生産台数を種類別にも固定する(要員も1ヶ月単位で増減する)。

 

3.平準化仕掛けをする。
AAABBBCCC……ロット仕掛け……×
ABCABCABC……平準化仕掛け……○

 

4,サイクリックな作業が可能になる(かんばんの使用も可能になる)。
AAABBBCCC……長長長中中中短短短……いろんな物がゴチャゴチャに流れてくる……作業の標準化ができない

ABCABCABC……長中短長中短長中短……「長中短」で1サイクルと見る……………作業の標準化ができる

 

5.作業の標準化ができれば、作業者の動きの一挙手一投足まで標準作業票に記載し、管理下に置くことが可能になる。

 

6.標準作業票に「安全」「品質」等を確保できるような内容を盛り込み、守らせるようにすることが可能になる。
 ☆部下の安全は上司が守る

 

もし、トヨタで事故が起きた場合、受傷した作業者が標準作業通り作業を行っていて受傷したのかがまず問われる。

【標準作業通りの作業をしていて受傷した場合】
その標準作業が不備だった→管理・監督者の責任

【標準作業通りの作業をせずに受傷した場合】
トヨタの安全管理上の責任はひとまず免れる。

●この際、部長から課長・係長へ問いかけ
管理・監督者(課長・係長)は、常に現場を巡回して作業者に標準作業通りの作業を行わせる責任がある。

にもかかわらず、なぜ、受傷者は標準作業通りの作業を行っていなかったのか?

ひょっとして、標準作業の内容に、作業がやりにくいなどといった問題があったのではないか?

 

<ロット生産のままの企業の安全対策>

ロット生産のため、いろいろな作業がさみだれ的に必要になるため、作業の標準化ができない。

ゆえに、標準作業票も作ることができない。

安全に関しては、「こういうことをした時には、こういうことをしてはいけない」というような大まかな指示となる。

 

P.S.

トヨタの工場では、動きの1つ1つまで管理されていて、大変だと思われると思う。

しかしこのようにしなければ、新人などの安全を確保することが難しくなってしまう。

なにせ「標準作業通り、1つも違えずやりなさい」と指示しておけば、上司も安心だし、やるほうも安心だ。

 

ロット生産のままの多くの企業を見た。

もしそこで、私が作業をすると考えた場合、恐ろしくてすぐにはできない。

当然、上司からはいろいろな注意事項の指示はあると思うが、そんなのすぐには理解できない。

 

「一挙手一投足をこの標準作業票の通りやりなさい。そうすれば絶対に安全だ」ということが工場作業では必須だと思う。

このような意味からも、トヨタ式に則った生産体制の整備は必要だと思う。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。