トヨタで教えられた先達の教訓22<トヨタ創業の決意>|元トヨタマンの目
22.トヨタ創業の決意(豊田喜一郎氏)
先考(ちち)之を辞に遺し、吾等之を実践し自動車工業の生誕を看る。
偶々皇国未曾有の非常時に際会し、吾等の使命日に重く、茲(ここ)に国策に順応して工場を挙母地方に設け、一大自動車工業を確立せんとす。
又、目を平時に転ぜよ、国家経済の動脈たり。
人は任務に生くべし、
小我を捨てて大我につけ、
任務を怠りて己を滅し、
任務を全ふして己を発揚す、
各自受持ちの任務に満腔の誠を致せ、
集まりて偉大の力を生ず、
連鎖も一環の集まりなり、
一個人の不注意を以って、
全工場の努力を空しうす、
一本のピンも其の働きは国家に繋(つな)がる、
各自の業務に無駄あるべからず。
(解説)
トヨタ自動車の創立記念日は11月3日である。
それは昭和13年11月3日に挙母工場が始動されたからだ。
その時、豊田喜一郎氏はこの一文を神前に捧げた。