トヨタで教えられた先達の教え29.30.31.32|元トヨタマンの目

トヨタで教えられた先達の教え29.30.31.32|元トヨタマンの目

29.技術なき工学は空虚、工学なき技術は盲目(梅原半二氏)
企業における研究と大学における研究を対比して考える時、「技術なき工学は空虚であり、工学なき技術は盲目である」ということが言えると思います。
大学の研究は特別に秀でたものは別ですけれども、「空虚」であるのが大多数ではないでしょうか。
一方、企業でやっている研究は、科学に乏しいから「盲目」である点が、非常に多いんじゃないかと思います。
だから、この両方を足して二で割ると、まことにいい研究ができると思います。

(解説)
梅原半二氏は大学と企業の両方で研究生活をした経験があった。

 

30.自ら窮地に陥る(梅原半二氏)
「窮すれば通ず」という言葉があります。
「窮する」ということは、毎日寝ても覚めても考えるということですから、そこから考えた上の極致として素晴らしい考えが出て来るというのは、当然ではないでしょうか。
やはり研究者として一番必要なことは「不可能と可能の上を歩いているんだけれども、俺たちにはできるんだ」というような信念を持つことです。
信念なくして創造性は開発できない。
ですから、「反復熟慮して、そうして窮地に陥る」ということが、創造性を生み出す最大の動機であるわけです。

 
31.何事も100回以上完成するまでやる(杉浦博氏)
デフの音で大変苦労をした時のこと、30回やっても、40回やってもヒューヒューというデフの音が直らなくて重役に叱られていたが、60回目ぐらいに、近くにすててあったドライブピニオンをはめてみたらピタリと音がでなくなってね。
うれしかったね、その時は。
今の生ラップの始まりになるわけです。
以来、私は「何事も100回以上、完成するまでやる」という考えで今までやってきました。
大体、皆は80%ぐらいのところでやめてしまう。
100回以上やれば、どんなことでも大体分かる。
完成するまでやる。
途中でやめたら、せっかくやったことが無駄になる。

 

32.検査の理念は検査しないこと(豊田英二氏)
検査の理念は検査しないことにある。
すべての機械設備が製品の品質を確保することができれば、検査は不要になる。

 

元トヨタマンの目
トヨタ生産コンサルティング株式会社


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。