トヨタでの英語事情|元トヨタマンの目

トヨタでの英語事情|元トヨタマンの目

ある時期から係長昇格の条件に、英語の検定試験であるTOEICでB級をとらなければならないという方針が人事部から打ち出された。

私はもう既にその段階は超えてしまっていたからよかったが、若い社員連中には激震が走った。

TOEICのB級とはかなりのハイレベルなのだ。大卒の連中は大学受験で筆記の勉強はしているのでまだいいが、高校卒の事務員・技術員の連中が真っ青だった。

 

まだこの方針実施には数年間の執行猶予期間があった。それからというものトヨタ全体が英語、英語で大変な状態になった。

私も工場勤務だったため、いずれ海外工場勤務のくることは確実なので、他人事ではない。彼らと一緒に勉強しなければならない。私もTOEICのB級を目指すことにした。

しかしただ勉強するのもつまらない。何か違った角度から勉強してみようと考えた。

 

そこで本屋でいろいろな英語の本を物色していると、「語源中心で考える英単語」という本が目に付いた。

手にとってみると、これが実に面白い。ついつい没頭してしまった。

その内容を少し紹介したい。

 

pend=懸ける・ぶら下がる

pending    宙ぶらりんにしておくこと(懸案・ペンディング)
suspend    決定などを宙ぶらりんにしておく(見合す・一時停止する)
suspender   ズボンを宙ぶらりんにしておく物(サスペンダー)
suspense    宙ぶらりんにされる恐怖(スリルとサスペンス)
suspension   車のサスペンション(車輪が独立して動く)
depend    ぶら下がる→頼る、依存する、従属する(de=down)
 

 

syn=with,togeter

synchronize   2つ以上のことが同時に起こる
sympathy    together+feeling 同情・共感
symphony    together+sound  ともに音を出す
symposium   together+drink 酒宴・座談会(シンポジウム)

 

tele=遠くへ

telegram    遠くへ+write       電報
telepathy    遠くへ+feeling     テレパシイー
telephone    遠くへ+sound       電話
telescope    遠くを+scope(見る道具) 望遠鏡
television    遠くへ+vision(映像)  テレビ

 

アルファベット26文字で全て構成しているのだから、このように語源などから派生して来なければ、数多くの単語を作り出すことは逆に不可能であろう。

中学校の段階からこのように、面白く教えてもらったら、もう少し英語が得意になったかもしれない。

 

元トヨタマンの目
トヨタ生産コンサルティング株式会社


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。