トヨタでの守衛の改善|元トヨタマンの目
私がトヨタへ入社したころ、総務部保安課に所属する守衛の方々は、ビルに入る玄関などで長時間立ったままの姿勢でいた。
この立ったままの姿勢というのが、体力を消耗するばかりで何の意味もないということで、机とイスが置かれて座って入門チェックを行うようになった。現在はカード管理になって、守衛さんはいなくなった。
以前にこのブログにも書いたが、鉄道の駅などで警察官が台の上に乗って、長時間立った姿勢で不審者にニラミを効かしているのは、体力を消耗するだけで意味がない。プールの監視員のような背の高いイスに座っているのがいいと思う。いざ不審者と格闘といった場合に、体力の温存ができるではないか。確かに座っていたら格好悪いかも知れないが、「実」をとるべきではないか。
この立ったままの姿勢というのは、心臓に非常に負担をかける。「立つ」ということは、地球の引力に体を垂直にするということだ。足の爪先まで下がって行った血液を、心臓というポンプが引力に逆らって、頭のテッペンまで引き上げなければならないのだ。歩いたりして体が動いていると、心臓のポンプ活動を、それらの動作活動が補助する作用が働き、スムーズに血流が動くらしい。しかし立ったままの姿勢でいると、心臓のポンプ活動のみで引力に逆らわなければならず、心臓に多大な負担がかかる。
飛行機のエコノミー症候群もまさにこれと同じで、長時間動かずに座ったままの姿勢でいるだけで、爪先への血流が悪くなってしまうのだ。
ところで、「寝る」という行為は、体全体が地面と水平なる。したがって、地球の引力にはまったく逆らわないことになる。ゆえに、心臓のポンプ活動は非常に楽になる。
もし眠れない時には、「もし朝まで眠れなくても、この姿勢のままでいるだけで心臓は休めることができる。それに伴って、体だって今日の疲れぐらいは回復できる。まあ、眠れなくてもいいや」といた気楽な気持ちでいれば、そのうち眠ってしまう。
しかし、眠ることによって心臓の負荷を軽減してやることはできても、驚異的なことに、生まれてから一度も活動を止めることなく動き続けてくれている。本当に心臓様には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。ゆえに、心臓様の活動の妨げになる行為は絶対にしないと心に誓っている。
その最も妨げになる行為が「喫煙」だ。血液が全身の老廃物を肺までやっと運んできて、新鮮な酸素と交換しようと思った矢先に、肺の中は有毒なタバコの煙で充満している。血液は老廃物を捨てることもできず、さらに有毒物質を体全体に運ぶことになってしまう。その汚いものは毛細血管に付着し、心臓はさらに高圧を出さざるを得なくなってしまう。
始末の悪いことに、脳はこの体や心臓様へのイジメを快感としてとらえてしまうらしい。この習慣性の部分は明らかな「病気」と認定されているそうだ。そのダメージはじょじょにじわじわと進行し、実際に体に偏重を来たすまでに何十年もかかってしまう。
ゆえに、最も恐ろしい。心臓などの循環器のみならず、歯槽膿漏・舌ガン・肺ガン・喉頭ガンなどその悪影響は計り知れない。
あなたの喫煙習慣を見て、あなたのいとおしいお子さんにもこのような喫煙習慣がついてしまったらどうするのか。私には3人の息子がいるが、彼らは小さいうちから、オヤジからタバコについての悪口を日々ぐちぐちぐちぐち聞いていたためか、喫煙習慣はつかなかった。彼らに対して行った教育的指導で唯一成功した事例ではないだろうか。
元トヨタマンの目
トヨタ生産コンサルティング株式会社