トヨタでの人の増員、減員の理論

トヨタでの人の増員、減員の理論

トヨタでは工場が新たな部品を作る場合、どのくらいの工数がそれにかかるか査定される。

工場技術員がそれを見積もり、本社生産管理部が決定する。

そして毎月、その見積もり値と実績値が比較され、改善があったかどうか評価される。

このような労務費の予算管理制度を実施しているのは、世界でトヨタだけだ。

 

トヨタでは、作業者の一挙手一投足まで会社が把握し、標準作業票にして現場に掲示する。

従って、増産になれば、合理的な算数により人の増員がされる。

逆に、減産になれば、こちらも合理的な算数によって減員がされる。

増産になっても、減産になっても、作業者1人1人の負荷は同じである。

また、すべてのライン・工程が、生産の増減に応じて、人を増減できるようにしてあり、いわゆる「定員制」を打破してある。

 

しかしロット生産などの工程に流れがない工場では、会社は作業者の作業内容を大雑把にしか把握できない。

従って、増産になっても減産になっても、合理的に要員の増減ができない。

そのような工場では、暇になった時、作業者は忙しいフリをする。

そのフリを会社はきちっとしたデータを持っていないので見抜けない。

 

逆に、増産になっても会社は安易に増員してくれない。

労使がこのようなことをしていると、相互不信が増幅し、労働争議に発展する。

 

トヨタでは人の投入、引き抜きが制度化され、白日のもとになっているため、この点での争議は起きない。

組合が文句があれば、現場に行けば、各作業者の標準作業票がそこに掲げてあるのだから、それを見れることができる。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。