トヨタ、産業用ネットワークにEtherCATの全面採用を決める
トヨタ自動車が、フィールドネットワークの標準として「EtherCAT」を全面的に採用することが明らかになった。
25日から29日までドイツで行われていたハノーバー・メッセのETGプレスカンファレンスで、同社の大倉守彦先進技術開発カンパニー工程改善部長が明らかにした。採用の理由として、EtherCATの高速性と、1本のケーブルで通信と電源供給ができる「EteherCAT P」を挙げている。
大倉氏は「トヨタが今後、新たに稼動させていく新工場にてEtherCATを最大限に活用する。EtherCATはオープンな技術である事に加え、高速で同期性能が高く、省配線の特長を持っている。これらは当社の生産システムを、IoTのコンセプトに基づいて、さらに進化させていくためのニーズに合致するとの結論に至った」としている。
特にEtherCAT Pの省配線を高く評価。「新技術である EtherCAT Pに大きく注目している。通信と電力を単一のケーブルに統合するコンセプトはトヨタの『リーン生産方式:TPS』の考え方にピタリと合致する。ケーブルは一本でも少ない方が良い。ETGの仕様として公開されるための準備が進められているが、これを当社とコミュニティが速やかに使えるように積極的に協力していきたい」(大倉氏)。
ETGのマーティン ロスタンエグゼクティブ・ディレクターは「世界最大の自動車メーカのトヨタは、極めて高い品質と生産性を実現する生産戦略で知られ、製造業のリーダとして他の多くの企業や業界がその成功を模範としている。今回の決定は、自動車業界に限らず他の業界でも、グローバルに EtherCAT 採用の加速を促すことになるだろう」と歓迎している。
地元のサプライヤーなど関係各社には、EtherCATの採用をすでに連絡済み。大倉氏は「工場でのIoTの利活用を推進していくためには、EtherCAT対応機器などを速やかに調達できることが不可欠だ。サプライヤーには品質とコストパフォーマンスが高い EtherCAT対応機器を遅滞なく供給することをお願いしたい。地元の設備仕入先には 3月に案内を差し上げたが、ハノーファーメッセでは世界の他の国々のサプライヤーにも同様の案内をしている」という。
参考:MONOist トヨタが工場内ネットワークでEtherCATを全面採用、サプライヤーにも対応要請
参考:日経テクノロジーオンライン 工場IoT化のコンセプトに合致、トヨタがEtherCATを採用