デニムにコスリを入れてみました。(洗い加工)
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先日、洗い屋さんにサンプルを出したときに、実際にコスリを入れてもらったので、デニムにどのようにコスリを入れるかを紹介します。コスリとは、その名前のとおり、紙やすりでデニムをこすり、白くさせる加工のことを言います。
まず、細かい部分は私もわからない部分が多いので説明できませんが、ブリーチ加工やバイオ加工をする場合には、大きく洗い加工の過程は2つに分けることができます。最初の過程は、お湯でデニムの糊等を落とし、酵素などを使ってバイオ加工をしたり、や還元剤・酸化剤を用いてブリーチ加工する段階です。後半は、柔軟剤などを入れて洗い仕上げる段階です。
コスリを入れる場合には、デニムに糊がついたままの状態のときに入れます。下のような白い板を脚の部分に入れ、ヤスリで削っていきます。それだけのことですが、コスリすぎると白くなりすぎ、コスリが少ないとあまり少なくなりません。どくれくらいの白さが欲しいかは、それぞれの製品で違うので、その望まれる白さを適切にだすのには経験が必要です。もちろん、量産時には、すべての商品で同じ濃さになるようにしなければならず、そこはプロの技です。
また、縫製工場としてこの段階で気をつけなければいけないことは、糸の始末です。通常は、洗い加工から戻ってきてから、QCが糸切りを行っていきますが、コスリを入れる場合には、洗い加工前に糸切りをします。なぜなら、糸のような細いものでも、ヤスリ加工でこすったときに、糸が残っていると、その糸の線が出てしまうからです。しかも、その糸の線がでてくるのは、洗い加工の後ということで、縫製工場では、コスリを入れる場合には、細心の注意を払って糸切りをして、また、糸くずがデニムの中に残らないようにしてます。
下が、デニムの中にいれる板の写真です。普段は、中でやっていますが、写真を撮りたいと伝えたところ、明るいところの方が良いということでわざわざ外でやってくれました。
下の写真のように、ヤスリでコスリを入れてきます。使うヤスリは、220番くらいのヤスリを使います。
上のように写真を入れたあとに、最初の過程のバイオ加工、ブリーチ加工の洗いをして、乾燥機にかけ乾かします。
乾かした状態で、コスリの具合はどうかを確認します。きちんと望んだ部位に入っているか、欲しい白さが出ているかなどを確認します。
もしコスリが足りなかったら、紙やすりで削り足します。また、スプレーで、白い色を少しかけたりするのもこの段階です。
この後に、柔軟剤等を入れて、もう一度洗いにかけ、乾燥させて出来上がりです。オーバーダイをするときに、染料をいれるのも、このときです。
出来上がった感じでは、次のような感じです。(全体をお見せ出来なくて申し訳ありません。)
裾の部分です。
後の腰の部分です。
膝の部分です。写真では分かりませんが、スプレーで少し色を入れています。
デニムは、洗い加工前の状態と、洗い加工後の状態で、同じ生地でも、どのような加工をするかで表情がまったく違ってくるで、とてもおもしろいです。縫製工場として、やりがいのある仕事です。といいつつ、デニムの加工は、奥が深く、まだまだ分からないことも多いので、私もいろいろな機会に勉強中です。