チョコ停|元トヨタマンの目

チョコ停|元トヨタマンの目

工程の進化は次の段階を踏む。

 

①手動機械 ロット生産  1人1台持ち
②手動機械 1個流し生産 1人1台持ち
③自動機械 1個流し生産 1人1台持ち
④自「働」機械 1人多台持ち 機械間も自動搬送

 

特に④への移行がトヨタ式の真骨頂だ。

しかし機械間をワーク(製品)がスムーズに流れていくようになるまでには、相当の努力が必要だ。

いろいろな問題が発生してワークはチョコチョコ停止してしまう(だからこのことをチョコ停と呼ぶ)。

 

その都度、人がそこ行って対応してワークを流せるようにする。

この際、トヨタの場合はトヨタ式問題解決手法で「なぜワークが止まってしまったのか? なぜ? なぜ? なぜ?……と深く深く考えていき、真因までつきとめる。

そしてその真因に対策を考え実行する。これがうまくいかなければ、さらにこれを繰り返す。

 

このような改善活動の積み重ねていけば、そこしずつワークがスムーズに機械間を流れていくようになる。

企業によっては、チョコ停が発生すると人が駆けつけて、それを手直ししてしまい、それっきり真因の追求も対策も再発防止もしないところがあるようだ。

長い工程のすべてのチョコ停にすぐ出動できるだけの要員を確保している。

 

チョコ停対応も人の作業の内と規定されてしまっているのだ。

こんなラインは自動ラインとはいえない。せっかく設備投資しても、人が減らず何の意味もなくなってしまう。

トヨタではチョコ停がないラインにする方向で全員団結して進んいるのに、このような会社はずっと取り残されてしまう。

 

元トヨタマンの目
トヨタ生産コンサルティング株式会社


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。