セーパー R 加工

セーパー R 加工

今回は、セーパーのRの加工です。

材料寸法は、SUS304(ホット)22x60x80です。60mmの幅のところにR154を加工します。

加工の工程、バイトの研ぎ方、ビビリ対策、最終的にR154を合わす。など、なかなかの難題を乗り越えなければなりません。

 

仕上げも、幅60mmを一回でR154には、とてもビビッて加工できませんので、何回かに分けて加工するのですが、その継ぎ目に工夫が必要です。

R加工の場合の継ぎ方は、ヘール仕上げの継ぎ方とは違います。

ヘール仕上げは、継いだ部分が若干飛び出るようにしますが、R加工はそうすると相手との隙間ができてしまいますので、だめです。

 

以下に、それぞれの工程の画像を公開しますが、全部で23工程かかってます。

まず、剣バイトで荒挽きをします。

次は、仕上がりより少し小さいRのバイトで荒挽きをします。

その次は、仕上がりにより近いRのバイトで中仕上げします。

そして、仕上げバイトで仕上げていきます。

画像では、波のように線が付いていますが、手で触ってみるとそれほど段はありません。少しビビリが出てますが、打ち合わせ時にOK頂いてますので、大丈夫です。

あえて、カエリを取らずに撮影したのにも理由があります。

セーパー使ったことある方なら解って頂けると思いますが、バイトの入り口と抜け口の状態を見てください。

 

入り口はヘールの効き始めの模様が付き、抜け口は(だれる)のですが、それを最小限に加工してます。

これはおもに、自分で作った、ヘールバリキと呼んでいる道具の調整が決めてです。

いわゆる、ヘールの腰を機械や加工によって調節します。市販のヘールバイトとは、一味違います。

 

シカルでSS400などをヘール仕上げした品物があればこの部分をよく見ていただければ、職人さんの腕が解ります。たいてい大きな面が取ってありますね(笑

SUS304のヘール仕上げは難しいです。

 

~基本を大切にした技術伝承~汎用旋盤職人養成


1963年大阪生まれ。西尾鉄工所代表。旋盤師、伝統技術継承者◎祖父の代から80年続く大阪八尾市の町工場の三代目。「職人道」を極めた先代のもとで、13才から弟子入りし、昔ながらの職人技を叩き込まれ、家業を一人前にこなした。工業高校卒業後、中堅工作機械メーカーに就職。工作機械(機械部品を産み出す母なる機械。マザーマシンとも呼ばれる)の構造を隈なく学び、23才で独立。最先端コンピュータで制御された「NC旋盤」に対し、職人の「技」と「勘」が頼りの「汎用旋盤」(職人の手で動かす旋盤)をこよなく愛し、現在に至るまで、その加工にこだわり続けてきた。数少ない伝統技術継承者の一人。◎若い世代の人材不足、技術伝承に危機感を持ち、2016年「汎用旋盤職人養成講座」をスタート。教材用に独自開発した「汎用フライス盤」は、設計、加工、組立・調整をすべてひとりでやり遂げ、自身の総合技術力の賜物となった。最近、営業下手な職人の殻を破り、SNSを駆使して「基礎の手技」の重要性を次世代へと訴える。また、異業種の職人を対象に、「いぶし銀の会」を立ち上げ、オリジナル製品の企画、開発など「未来の職人像」を探っている。コンピューター依存が加速する製造業の未来を受け入れつつも、「機械の前に人間ありき」と、代々受け継がれてきた職人の技と精神性の伝承に力を注いでいる。◎2014年「八尾市ものづくり達人懸賞」受賞、2015年日刊工業新聞「マイスターに聞く」掲載、「なにわの名工」受賞◎西尾鉄工所ホームページhttps://nishio-tekkousho.jimdo.com/ 西尾鉄工所技術伝承 https://nishio-tekkousyo.jimdo.com/