セーパーのメンテナンス

セーパーのメンテナンス

セーパーの油が少なくなって来ましたので、足そうと思いましたが、全ての油を交換し、中をきれいに掃除しようと思いました。

アクリルの窓をあけるとこのようになってます。

見にくいですが、奥の大きなギヤーの端面に付けられた、回り止めのような四角い部品がギヤーと共に往復運動しながら、バイトが付いているラムを動かしてます。

この往復運動する部分のアップが下の写真です。

この機械、もう38年くらい使ってますが、写真でも解るとおり、きさげがまだきっちりと残ってます。油も良くまわり、はめ合いも適切だからだと思います。

次の写真は、バイトを動かすストロークを調節する部分のアップです。

初めの写真の四角い部品をギヤーの外周側や中心側に移動させる部分です。

外周に移動させるほどストロークが大きくなります。この部分の案内部もきっちりと、きさげ仕上げされています。このあたりの仕事の丁寧さは、さすが山口さんですね。

このセーパーのメーカーさんです。ご存知の方はここの仕事ぶりは、有名ですよね。

 

機械は外見ではなく、内部を見るとその仕事ぶりが良くわかります。

長年使っていても、片べり(片磨耗)などは全くありませんし、きさげもそのまま残ってます。これは、各部のはめ合いや「あたり」の取り方が非常に良好な証拠です。

機械を使うばかりではなく、このように何かの時に、中を見てみると、大変良い勉強になります。愛着もいっそう強くなるでしょう。

 

次の写真は、アクリルの窓の左側になります。

左上が変速のギヤーでその手前の水色の部品がギヤーポンプです。

ここから各部に給油されます。

一番下が、オイルだめになっていて、一段深くなってます。

 

この部分からオイルを吸い取るように、水色のポンプから配管が通っています。

写真では解らないと思いますが、各ギヤーの「あたり」も良好です。使い込んだ機械は各部の「あたり」の状態を見ることにより、その機械の状態が良くわかります。

今後の仕事に活かせる絶好のチャンスでもありますのでぜひ自分の使っている機械の内部を見てください。裏側からや下からだけでもいろいろな発見があると思います。

 

一通りチェックしましたが、特別整備や調整の必要はありませんでしたので、今回は、油を全て抜き、ウエスで清掃し、新品の油を入れてメンテナンス終了とします。

使う油は、ギヤーやベアリングや摺動面が混在しますので、スーパーマルチ32♯を使ってます。

メーカー指定の油でもありますが、この機械には向いていると思います。ここ何年か前より質が落ちてますね。

 

清掃後の写真です。オイルだめもきれいになりました。

これでまたもう少し、この機械も頑張ってくれることでしょう。

日ごろの感謝と自分の勉強をかねた、メンテナンスでした。

~基本を大切にした技術伝承~汎用旋盤職人養成


1963年大阪生まれ。西尾鉄工所代表。旋盤師、伝統技術継承者◎祖父の代から80年続く大阪八尾市の町工場の三代目。「職人道」を極めた先代のもとで、13才から弟子入りし、昔ながらの職人技を叩き込まれ、家業を一人前にこなした。工業高校卒業後、中堅工作機械メーカーに就職。工作機械(機械部品を産み出す母なる機械。マザーマシンとも呼ばれる)の構造を隈なく学び、23才で独立。最先端コンピュータで制御された「NC旋盤」に対し、職人の「技」と「勘」が頼りの「汎用旋盤」(職人の手で動かす旋盤)をこよなく愛し、現在に至るまで、その加工にこだわり続けてきた。数少ない伝統技術継承者の一人。◎若い世代の人材不足、技術伝承に危機感を持ち、2016年「汎用旋盤職人養成講座」をスタート。教材用に独自開発した「汎用フライス盤」は、設計、加工、組立・調整をすべてひとりでやり遂げ、自身の総合技術力の賜物となった。最近、営業下手な職人の殻を破り、SNSを駆使して「基礎の手技」の重要性を次世代へと訴える。また、異業種の職人を対象に、「いぶし銀の会」を立ち上げ、オリジナル製品の企画、開発など「未来の職人像」を探っている。コンピューター依存が加速する製造業の未来を受け入れつつも、「機械の前に人間ありき」と、代々受け継がれてきた職人の技と精神性の伝承に力を注いでいる。◎2014年「八尾市ものづくり達人懸賞」受賞、2015年日刊工業新聞「マイスターに聞く」掲載、「なにわの名工」受賞◎西尾鉄工所ホームページhttps://nishio-tekkousho.jimdo.com/ 西尾鉄工所技術伝承 https://nishio-tekkousyo.jimdo.com/