サーマル・NP用語集(は行)

サーマル・NP用語集(は行)

サーマル・NPに関する用語をまとめた用語集です。

 

薄膜ヘッド
英文表記:thin film thermal head
薄膜ヘッドとは、薄膜プロセスにより形成されたサーマルヘッドで、薄膜プロセスとしては蒸着、スパッタリング等がある。対する用語は厚膜ヘッドである。

 

剥離距離
英文表記:peeling distance
剥離距離とは、熱転写記録で、サーマールヘッドの発熱体等の記録用熱源と、熱を加えた後、被記録媒体からインクリボンを剥離する位置までの距離のこと。

 

剥離時間
英文表記:peeling time
剥離時間とは、熱転写記録で、インクリボンに熱を加えてから被記録媒体からインクリボンを剥離するまでの時間のこと。

 

剥離層
英文表記:release layer
剥離層とは、熱転写インクリボンの支持体と熱溶融性インク層の間に形成されたインク層の剥離を助ける層のこと。

 

発光材料
英文表記:emitting material
発光材料とは、一般に、光励起あるいは電流励起で得られる励起状態(一重項または三重項励起状態)から、それぞれ蛍光またはリン光を発して基底状態に戻る化合物を指す。電流励起に基づく有機 EL の蛍光発光材料として、Al キノリニウム錯体(Alq3)が代表的である。また、有機 EL のようにホール・電子の再結合で得られる励起状態は、一重項:三重項の生成比率は1:3となるため、蛍光材料では、再結合で得られる励起状態の 25% しか発光に利用できないが、リン光材料では、一重項からの系間交差による三重項への遷移も含めて再結合によって得られるすべての励起エネルギーが利用できる。室温で高いリン光発光効率を示すイリジウム錯体、白金錯体が見出されている。(=有機 EL デバイス)

 

発熱抵抗体
英文表記:heat element
発熱抵抗体とは、サーマルヘッドにおいて選択的に通電して発熱する抵抗体で発熱体ともいう。一般的には矩形形状であるが発熱温度分布を均一にする目的で屈曲発熱体あるいはスリット型発熱体等がある。抵抗発熱体ともいう。

 

針電極デバイス
英文表記:multi-stylus electrode
針電極デバイスとは、静電記録で静電記録紙、誘電体上に静電潜像を形成するための電極をいう。電極は、数十ミクロン径のワイヤが 400dpi 程度の解像度で配置されている。電極と静電記録紙間は、数ミクロンの距離がスペーサ等で保たれ、そのスペースに数百ボルトの電圧が選択的に印加され空気が絶縁破壊されることにより、電荷を発生させて電荷像を静電記録紙上に形成する。

 

パルス数変調
英文表記:pulse number modulation
パルス数変調とは、プリンタやデジタル複写機などで階調性を有する画像を表現する方法の一つである。階調に応じて1ドットの光源の発光数やサーマルヘッドにおける通電パルス数を変化させる方式で、面積階調に相当する。

 

ヒートシンク
英文表記:heat sink
ヒートシンクとは、放熱器のことで、サーマルヘッドなどの電子デバイスの過熱を防止する。

 

ヒートモード記録
英文表記:heat mode recording
ヒートモード記録とは、レーザー記録において、レーザー光エネルギーを光源としてでなく熱源として利用するもの。記録材料はサーマルヘッドで記録可能な感熱材料が使用できる。

 

ピールバー
英文表記:peel bar
ピールバーとは、熱転写印刷において、サーマルヘッドのエッヂ側近傍に設置される棒状の部材で、インクリボンを記録媒体から剥がす目的に使われる。

 

光サーモプラスチック記録
英文表記:photoconductive thermoplastic recording
光サーモプラスチック記録とは、有機系の光導電体層に熱可塑性の樹脂層を重ねた感光体を帯電・露光した後、加熱して樹脂を軟化させ、露光部を挟んで存在する静電荷のクーロン力でしわを作る記録方法のこと。樹脂層は加熱により平滑化することで、再使用が可能となる。

 

光定着型感熱紙
英文表記:light-fixable thermal recording paper 
光定着型感熱紙とは、感熱記録を行った後に、記録紙全面を露光することにより記録紙の感熱性を失活させ画像の固定化ができる直接感熱記録紙を指す。ジアゾニウム塩化合物とカプラを色材として用いた感熱紙は加熱によりアゾ染料の画像を形成し、その後、紫外線を全面露光するとジアゾニウム塩化合物が分解し、画像の固定化(定着)ができる。

 

光電流増倍現象
英文表記:photocurrent multiplication
光電流増倍現象とは、光電流の量子効率が1を超える現象で、Si結晶など無機材料ではアバランシェ(Avalanche)効果が良く知られている。高電界下で光励起されたキャリアが加速され、固体内で衝突イオン化を繰り返すことによって新たなキャリアが生成される、いわゆる「なだれ増幅」が起こる。この現象はアバランシェフォトダイオード、高感度撮像管に利用される。キャリア移動度が小さい有機材料ではアバランシェ効果の報告はないが、電極と有機薄膜界面の現象として、光生成キャリアが電極/有機界面に蓄積し、界面の極微細領域に高電界が形成されて、電極からのトンネルキャリア注入によって照射フォトン数を越える光電流増倍現象が見出されている。

 

引き裂き特性
英文表記:tearing properties
引き裂き特性とは、溶融熱転写記録のインクが引きちぎられるときの性質をいう。JIS K7128のトラウザー引裂法によれば、切れ目を入れた試験片の切れ目を挟んだ両側を持ち、試験片を引き裂くときの荷重を測定する。

 

引張強さ
英文表記:tensile strength
引張強さとは、一様断面の真直棒に引張荷重を加えて破断させたとき、破断に至るまでに到達した公称応力の最大値のこと、すなわち、最大荷重を負荷前の断面積で除した値をいう。抗張力あるいは引っ張り破壊強さともいう。

 

引張伸び
英文表記:tensile elongation
引張伸びとは、引張試験において材料の延性を示すもので、引張試験後の破断した試験片の永久伸びを元の長さで除した値を百分率で示す。引っ張り破壊伸びともいう。

 

ピンチローラ
英文表記:pinch roller
ピンチローラとは、記録用紙やフィルムを、キャプスタンに押しつけ、密着させるための弾力性のあるローラのこと。(=キャプスタンローラ)

 

ファウラ・ノルドハイム・プロット
英文表記:Fowler-Nordheim plot
ファウラ・ノルドハイム・プロットとは、金属表面に高電場が印加されたときに、金属から電子が真空中に飛び出す電界放射現象は、トンネル理論を用いて次式(Fowler Nordheimの式)で表される。J = AF2/a2 exp(-Bf3/2/ a F)、 ただし、F は電界、fは金属の仕事関数、aは鏡像効果の補正項、Aはエミッタに依存した定数、B=6。83×107 (eV-3/2Vcm-1)である。この式から1/Vに対してJ/V2をプロットすると直線が得られ、傾きは仕事関数を反映する。このプロットのことをいう。式は金属表面が平面として求められたもので、針状の場合はこのまま使えないが、通常使われる電界領域ではBの値を8。0×107 [eV-3/2Vcm-1]と補正することに適用できる。

 

フォトリフラクティブ材料
英文表記:photorefractive material
フォトリフラクティブ材料とは、フォトリフラクティブ効果(光誘起屈折率変化:光吸収で生じた電荷の拡散によって光の強度分布に対応した空間電荷分布が形成され、その電界によって電気光学効果が引き起こされて屈折率が変化する現象)を示す材料をいい、レーザ光などの干渉縞を屈折率の変化として記録することができる。したがって、その材料には光伝導性と1次の電気光学効果を併せ持つ材料が求められる。具体的には、チタン酸バリウム等の無機結晶、非線形光学分子(NLO)の有機結晶、有機感光体材料のような光導電性を示すポリマーに NLO を添加したものが該当する。用途には、位相共役、実時間ホログラフィ、多重ホログラム記録、光増幅、非線形光情報処理、パターン認識、高密度光データ記憶等がある。

 

部分グレーズ
英文表記:partial glaze
部分グレーズとは、サーマルヘッドの基板上に形成したガラスを主成分とする蓄熱層をいう。基板全体に形成したタイプを全面グレーズと称し、発熱体近傍にのみ形成したタイプを部分グレーズと称する。(=グレーズ層)

 

フラーレン(C60)
英文表記:fullerene
フラーレンとは、炭素原子だけで組上げられているサッカーボール状分子をいい、直径は約 0。7nm である。3次元構造を持つダイアモンド、2次元シート構造を持つグラファイトにつぐ、1次元構造をもつ炭素同族体で、 1985年に発見された。C60は、グラファイトと同じくsp2混成軌道からなる結合状態を有し、炭素原子の6員環20個と5員環12個で構成される球状π電子系化合物で、優れた電子受容性を示す。電子材料としても注目される。またボール状分子の内部に不安定な原子を内包できるなど、カーボンナノチューブと共にナノ材料としてさまざまな応用分野が期待されている。

 

フラットパネルディスプレイ
英文表記:flat panel display
フラットパネルディスプレイとは、平面型ディスプレイつまり薄型ディスプレイの意で、ブラウン管を使った箱形ディスプレイに対するものをいう。液晶方式、プラズマ方式、電界発光(有機 EL)方式、電界放射(冷陰極)方式などがある。液晶方式はその配向による光の透過率変化を利用して、画素ごとに裏側に設けられたランプからの光量を制御する。プラズマ方式はプラズマを、また電界発光方式は電界発光を画素ごとに起こし光量の制御を行う。電界放射方式は冷陰極を画素ごとに並べ、そこから出た電子を加速し向かい合わせた蛍光体を光らせる。

 

ベースフィルム
英文表記:base film
ベースフィルムとは、インクリボンのインク層を塗布する基材で、主としてポリエステルフィルムが用いられる。

 

pHインジケータ
英文表記:pH indicator
弱酸は、水溶液が酸性のときは水素イオンを放出しないがアルカリ性のときには水素イオンを放出する。水素イオンを放出しない状態と放出した状態では、分子構造が異なるので電子状態も異なり、光吸収波長も変化する。弱酸の中で分子当たりの光吸収(モル吸光係数)が大きい、酸性のときの吸収波長(酸性色)と塩基性のときの吸収波長(塩基性色)が顕著に異なる、酸性色、塩基性色のいずれか、あるいは双方が可視領域に存在するという条件を全て満たす化合物がpHインジケータとして利用されている。(=メチルオレンジ)

 

ベシキュラー画像
英文表記:vesicular image
ベシキュラー画像とは、ジアゾニウム塩を熱可塑性樹脂中に分散させた記録材料に紫外線を照射し、光分解により発生した窒素ガスを加熱膨張させて得られた気泡(ベシキュラー)により形成された画像のことで、気泡が光を散乱する。

 

ボイド
英文表記:void
ボイドとは、記録媒体上に転写されたインクの状態を示す用語で、本来インクが転写されるべき部分に転写されず、インクの無い空隙が存在する状態を指す。

 

放電記録
英文表記:electric discharging printing
放電記録とは、放電を利用した記録技術をいう。放電で生じたイオンを利用するものは、静電記録、イオンフロー記録を参照のこと。他に放電による破壊現象を利用するもの(放電破壊記録)がある。ベースとなる紙上に、黒色等の着色層、さらにその上に白色の表面層が形成された記録用紙に、記録針で放電させて白色表面層を破壊し、着色層を露出させて記録する方式である。(=静電記録方式、イオンフロー記録方式)

 

ポーラス層
英文表記:porous layer
ポーラス層とは、細孔を持つ層で、記録媒体の表面層などに使われる。

 

保磁力
英文表記:coercive force
保磁力とは、強磁性体は外部磁界を加えていったん磁化すると、外部磁界を除いた後も磁化が残る。磁化をゼロにするには、逆向きの磁界を加えなければならない。磁化がゼロになるときの磁界を保磁力といい、磁化の保ち具合を表す。保磁力の高い材料を硬磁性材料、保磁力の低い材料を軟磁性材料という。抗磁力ともいう。

 

ホットメルトインク
英文表記:hot-melt ink
ホットメルトインクとは、常温では固体であるが、一般に80℃以上の高温では液体となるインクをいう。ホットメルトインク、ソリッドインクとも呼ばれ、記録紙上で高い光学濃度が得られる。(=固体インク)

 

ホットメルトコーティング
英文表記:hot-melt coating
ホットメルトコーティングとは、熱溶融性インクを加熱溶融した状態で支持体上に塗布する方法で、無溶剤の状態で塗布できる。対立する方法に、水系塗布、ソルベントコーティング(溶剤系塗布)などがある。(=ソルベントコーティング)

 

ホログラム記録
英文表記:hologram recording
ホログラム記録とは、レーザなどのコヒーレント(可干渉性)光を用いて、画像などの情報を有する物体光(物体によって散乱した光)の波面を、平面波からなる一様な参照光との干渉縞(コヒーレント光同士の干渉により生じた光強度のパターン)としてフォトポリマーなどの高解像記録媒体に光学的に記録すること。記録された干渉縞には物体光の強度と位相の情報が含まれることから、再生時には平面波を記録媒体に当てることで、記録した物体光の三次元的な光情報を有する波面を再生することができ、三次元的な画像再生が可能となる。

 

提供:一般社団法人 日本画像学会


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。