サーマル・NP用語集(な行)
サーマル・NPに関する用語をまとめた用語集です。
長手記録
英文表記:longitudinal recording
長手記録とは、磁気記録における面内記録方式の代表的なもので、ヘッドと記録媒体の相対的移動方向(磁気テープの長手方向に相当する)に沿って磁化する。
軟磁性材料
英文表記:soft magnetic material
軟磁性材料とは、磁化しやすく、いったん磁化しても外部磁界を除くと磁化が消えやすいという性質を有する強磁性体材料をいう。保磁力が小さく狭いヒステリシス・ループを持つ。磁気ヘッドやトランスのコアなどに使われる。
二色感熱紙
英文表記:two-color thermal paper
二色感熱紙とは、加熱温度により異なった二色に発色する感熱記録紙をいう。異なった温度で異なった色相に発色する感熱発色層を積層したものが一般的で、この場合、低温加熱で一色目が発色し、高温加熱で2色目が発色するため、高温時の発色色相は二色が混色したものとなる。高温時に低温発色色相が消色するタイプもある。(=消色型二色感熱紙)
熱応答性
英文表記:thermal responsiveness
熱応答性とは、一般には、熱伝導方程式が支配する場における時間を変数とした連続な解を指し、特に定常状態へ至るまでの速さを指すことが多い。
熱応答性マイクロカプセル
英文表記:thermo sensitive microcapsule
熱応答性マイクロカプセルとは、マイクロカプセルを構成するカプセル殻の物質隔離性が環境温度により顕著に変化するマイクロカプセルをいう。反応して発色する2つの化合物の片方を熱応答性マイクロカプセル中に、他方をカプセル外に置くことにより感熱記録材料を構成することができる。
熱拡散率
英文表記:heat diffusivity、thermal diffusivity
熱拡散率とは、熱伝導率 K を、比熱 C と密度ρで割った値αのことで、次式で表される。α=K/Cρ。(=熱伝導率)
熱可塑記録材料
英文表記:thermoplastic material
熱可塑記録材料とは、加熱により柔軟になる記録用着色材料をいう。ポリマーと顔料を主成分とする熱転写記録用固体インクが代表例である。熱転写記録用には熱可塑性の固体インクのほかにワックスを主成分とする固体インクも用いられるが、前者の方が一般に機械的強度に優れており、バーコードの記録などに有用である。
熱境界条件
英文表記:thermal boundary condition
熱境界条件とは、熱伝導方程式が支配する場を決定するための温度、または熱流束で定めた境界の条件のこと。
熱磁気記録
英文表記:thermo-magnetic printing
熱磁気記録とは、強磁性体は温度が高くなるにつれて保磁力、磁化とも小さくなっていき、キューリ温度に達すると、磁性を示さなくなる。この現象を利用して、磁気記録媒体にレーザ光やサーマルヘッドで局所的に熱を加えることにより、磁気潜像を記録することをいう。
熱時剥離
英文表記:peeling-off during hot state
熱時剥離とは、溶融熱転写記録で、加熱により軟化あるいは溶融したインク層が固化しないうちにインクリボンを記録媒体から引きはがすことをいう。(=冷時剥離)
熱転写記録法
英文表記:thermal transfer recording method
熱転写記録法とは、色素(染料または顔料)を薄層フィルムの片面に塗布しておき、これを受像シートと密着させてフィルム背面から加熱する。このとき加熱された部分の色素が受像シートへ移行して画像を形成する。熱転写記録法はこの方式の全般を指しており、色材の種類や転写機構の違いに基づいて溶融型熱転写法、昇華型熱転写法、拡散型熱転写法などと呼ばれる。
熱転写シート
英文表記:thermal transfer sheet
熱転写シートとは、支持体上に熱転写インク層が形成されたシートのこと。加熱ヘッドにより加熱された部分のインク層全体(溶融熱転写)、またはインク層中の染料(染料熱転写)が受像シート側に転写され画像が形成される。(=熱転写記録法)
熱転写マルチリボン
英文表記:thermal transfer multiple ribbon
熱転写マルチリボンとは、じ場所を複数回繰り返して印字に使用することができる熱転写インクリボンのこと。(=石垣構造)
熱伝導
英文表記:heat conduction
熱伝導とは、熱が物体の高温部から低温部へ伝わる現象で、電磁波の放射も物質の流れも伴なわない。固体中でエキシトンやフォノンなどの準粒子がエネルギーを伝達する場合も、熱伝導に含まれる。
熱伝導性粒子
英文表記:heat conductive particle
熱伝導性粒子とは、金属や無機化合物からなる粒子で、感度向上等を目的として溶融インク層中に入れることがある。
熱伝導方程式
英文表記:heat conduction equation
熱伝導方程式とは、温度の2次の勾配と温度時間変化が比例定数(熱伝導度)で結ばれている偏微分方程式で、拡散方程式の特殊な形である。
熱伝導率
英文表記:heat conductivity、 thermal conductivity
熱伝導率とは、熱がある物体の高温部から低温部に流れる時に、熱の流れの方向に垂直な単位面積 を通過する熱量Qと、この方向の温度勾配⊿θ の比 K のことで、K = ?Q/⊿θで表される。
熱破壊
英文表記:heat destruction
熱破壊とは、サーマルヘッドの破壊モードで、過電流または過電力により、発熱量が大きくなりすぎたために起きる破壊現象のこと。
熱融着性
英文表記:thermal adhesiveness
熱融着性とは、樹脂またはワックスが、加熱により軟化して他の物質に付着する性質のこと。染料熱転写の場合に離型性が不十分だとインクシートと受像紙が加熱により貼付いてしまうことがある。
熱溶融インク
英文表記:thermofusible ink
熱溶融インクとは、溶融型熱転写に用いられ、加熱により溶融または軟化するインクのこと。
熱流
英文表記:heat current
熱流とは、熱伝導方程式が支配する場を移動する熱の流れをいう。熱流束(heat flux)は単位時間に単位面積を通過する流れのこと。
熱履歴制御
英文表記:heat history control
熱履歴制御とは、サーマルヘッドの蓄熱現象に対し、通電補正を行い発熱温度を一定にする制御を指す。サーミスタ等で温度検出し、フィードバックする方法と通電履歴から温度を推定して通電補正する方法がある。
粘着
英文表記:adhesion
粘着とは、二つの物質の表面を接合すること。再剥離を想定する場合を粘着、再剥離を想定しない場合を接着と区別する場合がある。溶融熱転写記録において、溶融または軟化したインク成分が他の物質に付着する現象など、幅広く使用される。