サーマル・NP用語集(か行)

サーマル・NP用語集(か行)

サーマル・NPに関する用語をまとめた用語集です。

 

カーボンナノコイル
英文表記:carbon nanocoil
カーボンナノコイルとは、炭素から成るコイル状物質でコイル径がミクロンメートル以下のものをいう。理想的にはカーボンナノチューブをコイル状にしたもので、コイル外壁に5員環、内壁に7員環が配置される。構造によって金属、半導体、半金属の性質をもち得る。また、機械強度はナノチューブの 1/10 程度が期待できる。コイル壁の5員環は電子放出能が高い。また、多結晶構造のコイルの場合はコイル壁にグラファイトシートのエッジがあり電子放出能が高い。つまり、電子放出デバイスとして優れた特性をもつ。

 

カーボンナノチューブ
英文表記:carbon nanotube
カーボンナノチューブとは、グラフェンシート(グラファイトの一層で炭素原子が六角網目状に配列)を筒状にした構造をいう。直径はナノメートルオーダで長さ方向には制限がないが、一般的にはミクロンメートルオーダの長さである。網目のねじれ方と直径により半導体あるいは金属となる。機械強度はヤング率で 1Tpa と非常に高い。チューブ一層のものや複数の層が入れ篭状になったものがあり、それぞれ単層ナノチューブおよび多層ナノチューブと呼ばれる。アスペクト(長さ/直径)比が大きいことから、低電圧駆動が可能な電子放出源としてイメージングの分野で期待されている。

 

界面剥離
英文表記:interfacial peeling
界面剥離とは、複数の層構成からなる材料が剥離破壊するときに、異なった材料の接触界面で剥離が生じること。基材上にインク層を設けた熱転写リボンでは、加熱により基材/インク界面で剥離を生じ、インク層全体が転写することが好ましい。

 

架橋
英文表記:cross linkage
架橋とは、橋掛けともいわれる。ゴム製造プロセスにおける加硫のように、線状高分子中のいくつかの特定の原子間に化学結合を形成すること。分子内でも分子間でもよい。溶融熱転写でインクにこの原理を利用して被転写紙の表面凹凸を架橋するようにインクを転写することにより粗い紙にも高品質の記録を行うことができる。

 

拡散型熱転写法
英文表記:dye diffusion thermal transfer method
拡散型熱転写法とは、拡散性染料を薄層フィルムの片面に塗布しておき、これを受像シートと密着させてフィルム背面から加熱することにより染料を受像シートに移行させることにより画像記録を行う方式を指す。当初は昇華性の染料が使用されたため昇華型熱転写法と呼ばれた。英語表記(dye diffusion thermal transfer method)の頭文字をとりD2T2法ともよばれる。(=昇華型熱転写法)

 

活性化エネルギー
英文表記:activation energy
活性化エネルギーとは、原系から遷移状態を経て生成系に移る過程における、遷移状態と原系の状態とのエネルギー差に相当する。この過程が進行するためには、系が活性化エネルギー以上のエネルギーを持つことが必要である。

 

滑性層
英文表記:slipping layer、 back coat layer
滑性層とは、感熱記録材料において、サーマルヘッドによる加熱から材料表面を保護するために、サーマルヘッドと接触する面に設ける層。特に、熱転写用インクリボンにおいて、支持体ベースフィルムの耐熱性を補完するために、リボン背面に設けられる層のこと。温度によらずサーマルヘッドとの摩擦係数を低く維持し、かつヘッドへの機械的、化学的破壊を起こさない特性が要求される。耐熱性高分子と滑材を主として構成される。背面層、耐熱滑性層、耐熱層とも呼ばれる。

 

カラーインカラー法
英文表記:color-in-color process
カラーインカラー法とは、感光層の逆面にY、M、Cの昇華性染料を必要面積分、順次塗布し、感光面を露光してトナーを現像した後に、染料層と記録紙を密着し、トナー側から赤外線を照射してその輻射熱で染料を順次昇華転写させてカラー画像を得る方法をいう。

 

過冷却物質
英文表記:supercooling material
過冷却物質とは、一次または高次の相転移において、高温側から冷却したときに転移温度を過ぎても転移現象を起こさない物質。たとえば、水や液体状態のパラフィンを冷却していくとき融点を過ぎても固化しないことがある。過冷却化合物を塗布したシートを加熱することで潜像を形成し、トナーで現像することで画像形成ができる。

 

感熱記録紙
英文表記:thermo-sensitive recording paper
感熱記録紙とは、熱エネルギーの印加により直接発色して可視像が得られる記録紙を指す。代表的なものは無色のロイコ染料と酸性物質が熱時反応して発色するロイコ染料発色型(NCR型)感熱記録紙で、ファクシミリ、プリンタ用に広く使われている。他にジアゾ発色型などがある。

 

基材
英文表記:substrate
基材とは、インクシートや受像紙の構成材料で塗布層を保持させるための担体をいい、ベースフィルム、基材とも呼ばれる。インクシートでは支持体上に滑性層および色材層を形成する。染料熱転写用受像紙の支持体は断熱性とクッション性が重要である。紙、合成紙、PETフィルムなどが用いられる。(=支持体)

 

逆転写
英文表記:reverse transfer
逆転写とは、熱転写に最適な温度以上の高温で転写が不充分になる現象のこと。また、順次カラーインクを重ねる際に、先に転写した色のインクが後から重ねて転写しようとする色のインクリボンに付着して剥ぎ取られる現象(トラッピング)をいう場合もある。

 

キャプスタンローラ
英文表記:capstan roller
キャプスタンローラとは、記録用紙やインクリボンを搬送するために駆動するローラのこと。(=ピンチローラ)

 

強磁性体
英文表記:ferromagnetic material
強磁性体とは、弱い磁界を加えただけで強く磁化される物質をいう。Fe、 Co、 Ni に代表されるフェロ磁性体はスピンのそろった磁区の集合から成り、フェライトに代表されるフェリ磁性体は2種類の格子の組み合わせから成る。

 

凝集破壊
英文表記:cohesive failure
凝集破壊とは、同一組成の層に引っ張り応力が加わったときに、層内で不均一な破壊が生じ剥離すること。基材上にインク層を設けた熱転写リボンにおいて、加熱転写時に凝集破壊が生じると、画像濃度が一定しないなど記録が不安定になる。(=界面剥離)

 

キレート反応
英文表記:chelate reaction
キレート反応とは、2個以上の配位原子を持つ配位子が環を形成して中心金属と結合する化学反応のこと。この反応を利用して染料熱転写記録の画像保存性を飛躍的に高めることができる。実用化された系では受容層中に金属錯体を含有させておき、インクフィルム(染料ドナーシート)から移行してきた染料がその受容層中の金属錯体と配位子交換反応を起こして色素-金属イオン錯体を形成する。

 

記録電極
英文表記:printing electrode
記録電極とは、記録を制御する電極の総称で、記録方式によって異なる。静電記録では、多針電極(針電極)、イオンフロー記録では、イオン流制御電極、イオンカートリッジを指す。

 

グレーズ層
英文表記:glaze layer
グレーズ層とは、サーマルヘッドの基板上に形成したガラスを主成分とする蓄熱層をいう。基板全体に形成したタイプを全面グレーズと称し、発熱体近傍にのみ形成したタイプを部分グレーズと称する。

 

減磁
英文表記:demagnetization
減磁とは、何らかの原因で磁界が減ること。磁極による自己減磁、加圧による減磁、加熱による減磁、繰り返し再生による減磁、外部磁界の減少などがある。(=減磁力)

 

顕色剤
英文表記:developer
顕色剤とは、ロイコ染料を発色させるための電子受容性化合物を総称していう。フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、尿素誘導体などが知られている。(=ロイコ染料)

 

硬磁性材料
英文表記:hard magnetic material
硬磁性材料とは、磁化しにくく、いったん磁化すると消しにくいという性質を有する強磁性体材料をいう。保磁力が大きく広いヒステリシス・ループを持つ。永久磁石はその代表であり、マグネトグラフィにおける記録ドラムや記憶装置における磁気ディスク、磁気テープ等にも使用される。

 

抗磁力
英文表記:coercive
強磁性体は外部磁界を加えていったん磁化すると、外部磁界を除いた後も磁化が残る。磁化をゼロにするには、逆向きの磁界を加えなければならない。磁化がゼロになるときの磁界を保磁力といい、磁化の保ち具合を表す。保磁力の高い材料を硬磁性材料、保磁力の低い材料を軟磁性材料という。(=保磁力)

 

合成紙
英文表記:synthetic paper
合成紙とは、パルプを原料とせず、合成樹脂を原料とした紙のこと。外観は紙であるが物性的にはフィルムベースであり、高い表面平滑性、均一性が得られるために感熱記録紙用の支持体として適している。合成樹脂としては、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が一般的である。

 

抗張力
英文表記:tensile strength
抗張力とは、一様断面の真直棒に引張荷重を加えて破断させたとき、破断に至るまでに到達した公称応力の最大値のこと、すなわち、最大荷重を負荷前の断面積で除した値をいう。(=引張強さ、引っ張り破壊強さ)

 

光熱変換層
英文表記:light heat converting layer
光熱変換層とは、レーザ熱転写記録材料等において、光を吸収し発熱する機能を持つ層を指す。この層に含有される光熱変換材料として、金属蒸着膜、カーボンブラック、赤外吸収色素が挙げられる。

 

交流放電
英文表記:AC discharge
交流放電とは、電極間に交流電場を印加することにより発生する放電を指す。記録技術の分野で通常よく用いられるのは交流コロナ放電であり、正負両極性の放電イオンが発生する。

 

コーナーエッジヘッド
英文表記:corner edge head
コーナーエッジヘッドとは、セラミック基板側面部にC面加工を施し、そこに発熱体を形成したサーマルヘッドのこと。一般的な端面ヘッドと区別するためC端面ヘッドと呼ぶこともある。

 

コントログラフィ
英文表記:contrography
コントログラフィとは、トナーやインク等を画像信号により駆動される電界、磁界、機械的力で制御し、直接最終画像支持体に画像を得る方式を総称していう。インクジェットは数少い成功例といえる。

 

提供:一般社団法人 日本画像学会


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。