クロック速度、リード・ノイズ、低照度の撮像

クロック速度、リード・ノイズ、低照度の撮像

時には動作を低速にする必要があります。

私たちが生活している動きが速い世界では直観に反するように思えるかも知れませんが、正しく理解するためにもの事を低速にすることが必要となる場合があります。

職人は依然として最高レベルで仕事をするために時間をかける必要がありますし、芸術家が求めに応じて創造性を発揮することは期待できません。

 

また、重大な手術中に、外科医が大急ぎで手術を施すことを望んで​​いる人はいないと思います。

この考え方は電気回路にとっても重要です。誰もが常により高い速度を望んでいるように思えますが、電子機器の動作速度を上げると、回路に関連するノイズも増加します。

さらに、用途によってはノイズの抑止が高速化よりも重要です。

 

一例として、天体写真や科学撮影などの用途における低照度撮像を検討してみましょう。

この場合、信号レベルが低くて画像の最暗部を捕捉するのに、非常に長いインテグレーション・タイム(最高1時間)が必要になる場合もよくあります。

1時間の露光後、データの読み出しに1秒あるいは30秒かかっても、遅い読み出し速度で最終画像の完全性が維持される限り、それほど問題ではありません。

KAF16200

このことから、新製品KAF-16200イメージ・センサを採用したカメラ設計を冷静に理解することができるでしょう。

KAF-16200は、規定最大速度24 MHzよりはるかに低い速度で動作する、低照度撮像用途向けに特別に設計されたデバイスです。

経験則として、1 MHz前後またはそれ以上の速度で動作するイメージ・センサのリード・ノイズは、周波数比の平方根に反比例します(1 MHz以下では、他のノイズ要因が支配的になる)。

 

これはクロック速度を24 MHzから1 MHzに落とすと、リード・ノイズが1/5まで低減される可能性があることを意味します。

このデバイスから得られるクラス最高の暗電流と併せると、この種のノイズ最適化設計では、画像の最も微妙な細部でも、全16メガピクセルの解像度で捕捉できます。

もちろん、なにもしなくて良いということではありません。

 

イメージ・センサがこのような低速度で動作するときは、全体的なシステム・ノイズがイメージ・センサの性能を活かすのに十分低くなるよう、カメラの設計側での作業が必要です。

しかし、このような低速動作の場合、注意を要する仕事は最大感度での画像の取り込みを可能にすることです。

時には低速度で動作できることが、実際に重要になる場合があるのです。

出典:『クロック速度、リード・ノイズ、低照度の撮像』オン・セミコンダクター


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。