カムを使った機械

カムを使った機械

先日、取引先に行った時のことです。

そこは、専用機を作っている会社で、設計から部品加工、組み立て、修理と全てやっています。

私が行った時、「明日、立会いですねん」と言いながら、出荷予定の機械を最終調整していました。

 

「立会(たちあ)い」とは、機械を確認して貰うために、発注側の方に実際に動かしているところを見て貰うことです。

特注の機械ですので量産の機械とは違った緊張があります。

機械好きな私は少しの間その作業を見ていました。

 

「カム」で動かす構造になっています。

NC制御が当たり前の今日ですが、ここの会社が作っている機械はカムやクランクといった構造が大半です。

各部の調整に熟練が必要ですが、NC制御の機械に比べて長持ちします。

 

このような構造の機械をもっと見直されてもいいと思うのですが、使う側に調整が必要な為か、一部の業種のみとなってしまったようです。

今回の最終調整も、芯を出す為にある部品を少し移動させるのですが、それに伴い他の部品にも影響が出るので、明日の立会いまでに全て終わらせることが出来るか、ぎりぎりだと思います。

工場長さんの難しい判断となると思います。

 

音などの微妙な変化で、「ガタ」が増えてきたからそろそろ調整が必要と判断し、その処置をし、そして調子が良くなった機械をまた使う。

「機械の構造を理解し、調整をしながら使う」というのは面白みがあると思います。

 

~基本を大切にした技術伝承~汎用旋盤職人養成


1963年大阪生まれ。西尾鉄工所代表。旋盤師、伝統技術継承者◎祖父の代から80年続く大阪八尾市の町工場の三代目。「職人道」を極めた先代のもとで、13才から弟子入りし、昔ながらの職人技を叩き込まれ、家業を一人前にこなした。工業高校卒業後、中堅工作機械メーカーに就職。工作機械(機械部品を産み出す母なる機械。マザーマシンとも呼ばれる)の構造を隈なく学び、23才で独立。最先端コンピュータで制御された「NC旋盤」に対し、職人の「技」と「勘」が頼りの「汎用旋盤」(職人の手で動かす旋盤)をこよなく愛し、現在に至るまで、その加工にこだわり続けてきた。数少ない伝統技術継承者の一人。◎若い世代の人材不足、技術伝承に危機感を持ち、2016年「汎用旋盤職人養成講座」をスタート。教材用に独自開発した「汎用フライス盤」は、設計、加工、組立・調整をすべてひとりでやり遂げ、自身の総合技術力の賜物となった。最近、営業下手な職人の殻を破り、SNSを駆使して「基礎の手技」の重要性を次世代へと訴える。また、異業種の職人を対象に、「いぶし銀の会」を立ち上げ、オリジナル製品の企画、開発など「未来の職人像」を探っている。コンピューター依存が加速する製造業の未来を受け入れつつも、「機械の前に人間ありき」と、代々受け継がれてきた職人の技と精神性の伝承に力を注いでいる。◎2014年「八尾市ものづくり達人懸賞」受賞、2015年日刊工業新聞「マイスターに聞く」掲載、「なにわの名工」受賞◎西尾鉄工所ホームページhttps://nishio-tekkousho.jimdo.com/ 西尾鉄工所技術伝承 https://nishio-tekkousyo.jimdo.com/