オムロン、スカラロボット『i4シリーズ』を新発売 最大可搬重量15kg、各機器の連動で複雑な作業を自動化
オムロン株式会社は、簡単に高速高精度な組立や搬送を自動化するスカラロボット『i4シリーズ』を、2021年1月22日より発売を開始した。『i4シリーズ』は、最大可搬重量15キロに対応するハイパフォーマンスモデルの『i4H』と、コンパクトで軽量用途に適応する『i4L』モデルの2種類がラインアップ。本ロボットとロボットハンド(エンドエフェクタ―*¹)、周辺機器をシームレスに統合制御することで、各機器の連動を可能にし、従来スカラロボットにはできなかった複雑な作業を自動化する。
*1エンドエフェクタ―:産業用ロボットのハンドの先に取り付ける機器。用途に応じて、様々なものに取り換えて使用する。
開発の背景
モノづくり現場では、従来からの人手不足による自動化ニーズに加え、新型コロナウイルス感染症の影響で、ロボット導入による自動化への期待が高まっている。スカラロボットは、立ち上げが比較的容易なうえ、高速な作業の自動化ができることから、以前から導入が進んでいた。しかし、ロボットは周辺機器と異なるコントローラーで制御されるため、それぞれ密接に連動させることが難しい上、複雑な作業を行うためには取り付けるエンドエフェクタ―が重くなりロボットの可搬重量が不足するなど、スカラロボットで自動化できる組立・搬送作業には制限があった。
製品概要
今回発売されたスカラロボット『i4シリーズ』は、『ロボット統合コントローラー*²』1つでエンドエフェクタ―や周辺機器とまとめて統合制御することで、高速・高精度に各機器をシームレスに連動させ、生産性の高い設備を簡単に実現する。また、最大可搬重量15㎏対応で、高度がゆえに重いエンドエフェクタ―も装着できるようになり、従来スカラロボットでは難しかった組立・搬送作業も自動化する。さらに『i4シリーズ』本体のディスプレイ表示やLEDライトで、導入後も離れた場所からトラブルの有無や内容が即座に判別できるうえ、「トラブルシューティング機能」で適切な操作を作業者に促すことで、常に最適な設備状態を維持し、安定稼働に貢献する。
*2ロボット統合コントローラー:オムロンの生産設備を構成するロボットと制御機器をOneコントローラーで統合制御するコントローラー
“i-Automation!”
オムロンは、3つの “i”、「integrated(制御進化)」「intelligent(知能化)」「interactive(人と機械の新しい協調)」からなる戦略コンセプト “i-Automation!”のもと、製造業のモノづくり現場の革新に取り組んでいる。『FH-SMDシリーズ』とロボットを組み合わせ、生産性高い自動化ソリューションを提供することで “i-Automation!”を実現する鍵となるモノづくり現場の「interactive(人と機械の新しい協調)」の実現を顧客企業各社と共に加速させるとのこと。
主な特長
1.高速・高精度
可搬重量15kgまで対応し、ロボットアームの内部にEtherCAT通信を内蔵することで、エンドエフェクタ―部にEtherCAT機器を付加し、多様なハンドリングやロボット統合コントローラーとの連携で、高速高精度な搬送動作や組立動作を実現できる。例えばこれまでは、多品種対応や多能工化対応のためのフレキシブルなロボットハンドが必要な場合や複数個のワークを同時処理する場合に、ロボットハンドの先端の機構が複雑になるために、ハンドが重くなり可搬重量が不足するケースや、制御信号の入出力点数不足や配線が複雑化することの課題を解決できる。
2.簡単な導入
コンパクトな筐体にロボット制御ボックスやケーブルを内蔵し、設置面積を最小化。配線も簡単になり、新設・既設を問わず様々な設備へ容易に導入できる。また、ロボット統合コントローラーのプログラミングソフト「Sysmac Studio」統合ソフトウェアで、簡単にプログラムを組むことが出来る。さらに、シミュレーション技術により設備設計の初期段階で、装置パフォーマンスの検証を可能にし、設備の仕様特定を担うメカ設計者と、設備の制御プログラミングを担う電気設計者が協議しながら並行して設計できるようになる。その結果、高い生産能力の実現や、設備立上げ時のミスや後戻りを防止し、短期間の立上げを実現する。
3.想定外の停止を防ぎ、機会損失を最小化
『i4シリーズ』は、自らの「運転状態」を光で表す「予知保全」機能を搭載している。「トラブルシューティング機能」とロボットのベース部分に配置したディスプレイやリング型のライトによって、適切な操作をユーザーに促し、常に最適な状態を維持することで、突発停止による機会損失を最小化する。
4.多様なラインアップで生産ラインの拡張性と柔軟性をサポート
『i4シリーズ』は、リーチ長や可搬重量の豊富なラインアップにより、生産ライン全体の性能向上を最適なコストで実現すると共に、ユーザーの生産ラインの拡張を柔軟にする。中・大型サイズでハイパフォーマンスモデルの『i4H』と、コンパクトで軽量用途に適応する『i4L』で構成。小型の『i4Lシリーズ』には、従来のシンプルな制御でも活用できるようEthernetタイプをラインアップし、より幅広いアプリケーションに適応できる。コンパクトな筐体にコントロール部が内蔵され、設置面積抑えられるうえに、床置き、壁掛け設置が可能で、フレキシブルなレイアウトに対応可能で、新規設備設計だけでなく既存設備の改造にも適しておりリーズナブルに導入することができる。
ラインアップ
『i4Hシリーズ』
- 最大可搬重量15kg
- リーチ長650mm、750mm、850mmから選択
- 標準210mmに加え410mmのロングクイルを全モデルに対応
- 床置き、壁掛けに加え天井取り付け可能な反転タイプを準備
- EtherCAT接続
- ロボットの状態を表示する視認性に優れた多色LEDライトリングとディスプレイ搭載
- IP65、クリーンルーム、静電気タイプ、USDA認証(米食品衛生基準)オプションにより様々な製造現場に対応(※2021年4月リリース予定)
『i4Lシリーズ』
- 最大可搬重量5kg
- リーチ長350mm、450mm、550mmから選択
- 標準180mmクイルに加えリーチ長550mmモデルには 350mmのロングクイルに対応
- 床置き、壁掛け設置が可能、インターフェースパネルは設置位置により底面と背面から選択
- EtherCAT(※2021年8月リリース予定)あるいはEthernet接続
- ロボットの状態を表示する視認性に優れた多色LEDライトドーム搭載