エアシリンダーとどう違う? 生産性が高い・簡単・安い『エレシリンダー』大解剖(株式会社アイエイアイ)
エアシリンダーに置き換わる次世代のFA基幹機器として注目を集めるアイエイアイの『エレシリンダー』。実際のところ使いやすいのか? 便利なのか? 特長や導入効果について株式会社アイエイアイ 柴田さまに話を伺いました!
※本記事はアペルザ主催のウェビナー「アペルザTV」#担当者突撃インタビューの配信内容を書き起こしたものです。
今回のゲスト
株式会社アイエイアイ 技術教育課
柴田 伸行 氏
2004年に株式会社アイエイアイ入社。現在は社内、および代理店向けの教育を担当
Q.アイエイアイってどんな会社?
設立は1976年。小型産業用ロボットの開発・設計・製造・販売を一貫して手がける産業用ロボットメーカーです。工場は静岡に2ヶ所あり、国産にこだわって製造しています。
また単軸スライダについては、販売台数、販売金額ともに国内シェア50%以上を獲得しています。(2019年実績、富士経済調べ)
Q.『エレシリンダー』って何?
エアシリンダーに代わる“次世代のFA基幹機器”です。
ラインアップはスライダータイプをはじめ、ロッドタイプ、ストロークが最長2600mmの大型スライダータイプ、そしてストロークが30mmや50mmの小型タイプも取り揃えています。今後も拡充し、主力製品として育てていきたいと思っています。
Q.エアシリンダーとはどう違うの?
大きな違いは、生産性です。その理由として、サイクルタイムを短縮できることが挙げられます。なぜそのようなことが可能なのか? 理由を説明します。
エレシリンダーは加速度・速度・減速度を制御できる
エレシリンダーには以下の3つの設定項目があります。私たちは「AVD」と呼んでいます。
- Acceleration:加速度(%)
- Velocity:速度(%)
- Deceleration:減速度(%)
加速度と減速度は、自動車運転のアクセルペダルとブレーキペダルの操作をイメージすると分かりやすいと思います。数字が大きくなると、ペダルをぐっと踏み込む、つまり急発進、急停止するイメージです。逆に数字を小さくすれば、緩やかな発信、停止を実現できます。これがエレシリンダーの大きな特長です。
エレシリンダーはピタッと止まれる
エアシリンダーを使う際はスピコンを絞って衝撃を抑えないと使いものになりません。一方、エレシリンダーはピタッと止まることができます。
上図はエアシリンダーとエレシリンダーの動きをグラフ化したものです。縦軸が速度、横軸が経過速度で、赤がエアシリンダー、青がエレシリンダーの波形です。圧倒的にエレシリンダーのほうが速いということが分かります。
ポイントは2つあります。一つ目は、走り出しの部分です。エアシリンダーはエアーを駆動源としているため時間を要しますが、エレシリンダーは電動のため動き出しが速いです。二つ目は停止時です。先ほども申し上げたとおり、エアシリンダーは当て止めになるので大きな衝撃がかかります。エレシリンダーはAVDをそれぞれ任意の値で設定できるため、加速と減速を緩やかにしながらもトップスピードを保つことが可能です。
エアシリンダーは衝撃を抑えようとするとスピコンを絞る必要があります。そうすると、どうしても速度も遅くなってしまいます。しかし速度を優先させようと思うと、衝撃が大きくなってしまいます。なかなか両立するのが難しいのではないでしょうか。
設備費も人件費も半分に!? エレシリンダーの活用事例
例えば1サイクル=3秒で月に72万個の生産をしているラインがあるとします。2倍に増産することが必要になったらどうしますか? ライン自体を増設することも考えられますが、実はこのようにエアシリンダーからエレシリンダーに置き換えるだけで、ラインを増設せずとも生産量を2倍にすることができます。
結果的に設備費も人件費も半分にすることもできます。もちろん省スペース化にも貢献します。金額にするとかなり大きな効果になると思います。
Q.ロボットは難しい…? エレシリンダーの操作ってどんな感じ?
エレシリンダーに置き換えることで生産性が上がることは理解していだけるのですが、エレシリンダーは電気で動くロボット。「扱いが難しいのでは?」といった声をよくいただきます。
実はエレシリンダーは扱いやすさにも考慮したロボットです。エアシリンダーと同様に、PLCラダープログラムを使用することができます。すでにエアシリンダーを使っている方であれば、そのままエレシリンダーに置き換えることが可能です。ラダープログラムを変更する必要はありません。
また設定も非常に簡単です。方法は「簡単設定」と「AVD設定」の二つ。簡単設定は前進・後退をそれぞれ10段階で設定できます。任意の速度を選ぶだけで完了します。一方、AVD設定はA・V・Dをそれぞれ任意の速度で設定することが可能です。
Q.エアシリンダーは安いけど、エレシリンダーは高いのでは?
高いと思われがちなのですが、実はそんなことはありません。上図は同スペックのスライダータイプを比較したものです。エレシリンダーは周辺機器も含めての価格になりますが、実は本体価格だけで比較してもエレシリンダーの方が安価です。
視聴者からの質問
Q.ラインアップが豊富ですが、どのように選べばいいのでしょうか?
エレシリンダーの特長の一つが充実したラインアップなのですが、一方で「何を選んだらいいの?」とお困りの方もいらっしゃるかと思います。そんな方に向けて機種選定ソフトをリリースしました。
動作条件、もしくは今お使いのエアシリンダーのスペックを入力いただくだけで、適したエレシリンダーが表示されます。とても簡単で10秒くらいで選定いただけます。価格や概算納期も一覧で表示されるので、ぜひ活用ください。
Q.コントローラ、ボールねじ、モータも内蔵とのことですが、部品点数が多いので納期が長くなってしまうのでしょうか?
納期については概算で1〜2週間程度です。一部の主力製品は翌日出荷にも対応できます。
実はアイエイアイではリニアガイド、ボールねじ、スライダーなども一部内製しているため、豊富なバリエーションがありながらも短納期で対応できます。
以下より、『エレシリンダー』の総合カタログをダウンロードいただけます。