インクリボンの種類と特長

インクリボンの種類と特長

概要

熱転写式バーコードプリンタの特長は、印刷品質が良いこと、紙、プラスチック、金属、布などに印刷できること、耐熱、耐水、耐溶剤、耐擦傷に優れていること、カラー印刷ができること、高速印刷ができることなどであるが、それらを実現しているのは、優れたインクリボンが開発されているからである。

ワックス系と樹脂系の違い

インクリボンは、そのバインダ材料の種類からワックス系と樹脂系に分類することができる。

熱転写方式は、サーマルヘッドの熱でインクリボンを溶かして紙に転写し、その後、冷却固化させることで印刷を行うので、インク材料には、当初、熱応答性が良いワックスが使用されていた。

これは、一般にワックス系インクリボンと呼ばれ、ワープロや汎用プリンタ用のインクリボンとして良く使用されている。

 

しかし、バーコードラベルとしては、耐擦傷性や耐熱性が求められることから、擦れに強い樹脂成分(分子量の大きいもの)の比率を増やした樹脂系インクリボンが開発された。

樹脂の比率がいくつ以上を樹脂系インクリボンというか明確ではないが、ワックス2~4割、樹脂6~8割の製品が多い。

温度と粘土の関係を見ると、樹脂系は、ワックス系に比べ、粘土性が高く、溶融温度が高い。

 

また、ワックス系は、わずかな温度変化で粘土が大きく変化するので熱応答性が良いが、樹脂系は、温度変化に対しゆっくり粘土が変化するので熱応答性が悪い。

したがって、樹脂系は、大きな熱エネルギーをタイミング良く作用させなければならない。

このようにワックス系と樹脂系は、その性質がまったく異なるので、両者を組み合わせることによって、様々な特性のインクリボンが開発されている。

 

樹脂系は、カーボンなどの着色材料が分散し易いので、溶媒での濃度調整が容易である性質を利用したソルベントコーティング法で塗布されている。

これにより高濃度の着色材料が塗布できる。インクリボンは、バーコード利用の拡大により次のような特性が求められている。

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耐擦傷性

物流現場では、輸送途中でラベルが擦れることにより読取率が低下することが多いので、耐擦傷性に対する要求は多い。

ペンスキャナが多く利用されていた頃は、スキャナがラベルを傷付けることが問題になったが、近年、非接触読取が主流になったために、この心配は少なくなった。

耐熱性

製造現場では、半田付け、乾燥、熱溶着、熱接着など高温に晒されることが多いので、耐熱性は重要な要件である。

また、アパレル業界では、スチームアイロンに耐えることが要求されている。

耐水性、耐溶剤性、耐油性

耐水性は、生鮮食品、冷凍食品、屋外商品、洗浄商品など、多くの分野で求められている。

耐溶剤性、耐油性は、半導体製造や機械製造などの現場では、必須条件である。

耐候性

屋外での使用では、耐候性が必要である。

特に、長期使用の場合は、紫外線による変色が懸念されるので、コーティングやラミネート等の処理が必要な場合がある。

カラー化

熱転写式カラーバーコードプリンタの登場により、カラーインクリボンが開発された。

赤色、緑色、黄色、黒色のリボンを組み合わせてフルカラー印刷する場合と、カラー1色と黒色の2色カラー印刷する場合がある。

2色カラー印刷は、注意表示や警告表示、マークなどに使用される。

環境性

環境保護のために、何度も使用できるマルチパスリボンが開発されている。

使用回数は、10回程度であるので、インクリボンの消費量を節約でき、また、リボンの価格は数倍であるがコストダウンにも繋がる。

しかし、リボンを巻き取り再利用する手間が課題となっている。

セキュリティ化

目で見えないステルスバーコードは、赤外線を吸収するインクリボンを使用している。

提供:アイニックス株式会社


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。