アメリカでの自動車初期品質調査、日本ブランドはトップ5にも入らず。。。
J.D.パワーは、2017年米国自動車初期品質調査「ISM(Initial Quality Study、略称IQS)」の結果を発表。ブランド別ランキングでは、起亜が72PP100で2年連続で第1位、第2位はジェネシス(77PP100)、第3位はポルシェ(78PP100)、第4位は同率でフォードとラム(86PP100)が入った。日本ブランドでは、日産が第10位(93PP100)で最高位だった。
※数値が低いほど高評価
日本ブランドは、
10位 日産 (93PP100)
14位 トヨタ (95PP100)
15位 レクサス (98PP100)
19位 アキュラ (103PP100)
21位 ホンダ (105PP100)、
23位 インフィニティ (107PP100)
25位 スバル (113PP100)
27位 マツダ (125PP100)
29位 三菱 (131PP100)
この調査は、車両購入後90日間での新車の品質を調べるもの。初期品質は、100台当たりの不具合指摘件数(PP100)として算出され、数値が小さいほど不具合指摘件数が少なく品質が良いことを示す。2017年の調査は2017年型車を購入もしくはリース契約した約80,000人の対象者に、購入(またはリース)後 90 日を経てから調査した回答を基にしている。調査は8カテゴリーに分けられる233の質問から構成され、自動車メーカーに不具合の特定を促し、車の改善に役立つ情報を提供することを目的としている。調査期間は2017年2月から5月にかけて実施された。
主なトピックス
・今年の新車の初期品質が昨年から8%と大幅に改善し、過去最高水準に
今年の調査では、新車の初期品質は8カテゴリー中7カテゴリーで向上した。また、当調査の対象となった33ブランドのうち27ブランドで初期品質が向上した。
J.D. パワーのグローバル・オートモーティブ部門バイス・プレジデントのデイブ・サージェントは「自動車メーカーは消費者のフィードバックに応え、最高品質の車両を生産している。自動車業界は、過去3年の間に年々、大幅な改善を見せている。現代の車両には、不具合を発生し得る装備や機能が増えているが、実際には報告されている不具合は減少している」と述べている。
・オーティオやカーナビ等は不具合指摘が多いが、改善傾向
オーディオ/コミュニケーション/エンターテインメント/ナビゲーション(ACEN)は、依然として新車のユーザーが最も多く不具合を経験しているカテゴリーである。その一方で、このカテゴリーの不具合指摘件数は、昨年から2.7PP100減少して22.8PP100となっており、この減少幅は8カテゴリー中最も多い。
・自動運転技術に対する早期警鐘。装備品の初期品質は悪化
今年の調査で唯一、初期品質が悪化したカテゴリーは装備品/コントロール/ディスプレイだった。特に、クルーズ・コントロール(主にアダプティブ・クルーズ)、車線逸脱警告システム、衝突回避/警告システム、死角警告システムで最も不具合件数が増えた。これらの機能は、自動運転車を構成する要素の一部から成る機能で、ユーザーが指摘する不具合の増加は、自動車メーカーやサプライヤーに対する警鐘とも取れる。運転制御を自動運転車に任せるようになる前に、このようなシステムは誰にでも扱えるシステムであるということを、ユーザーが納得する必要がある。
・米国系ブランドは引き続き改善
「デトロイトスリー」の初期品質は、昨年に続き輸入ブランドを上回っていたが、これは1987年に初の調査発表以来、3回目。今年、米国系ブランドの不具合指摘件数は93PP100と、輸入ブランドの99PP100よりも少なかった。昨年も、米国系ブランドの不具合指摘件数は103PP100と、輸入ブランドの106PP10よりも少なかった。
「米国の自動車初期品質調査は、車両品質に関するユーザーのフィードバックに自動車メーカーが応えることが極めて重要であることを示し続けている。現状にとどまっている自動車メーカーは、あっという間に後れを取ることになるだろう。ユーザーにとって良かったことは、すべてのモデル・セグメントで大幅に改善しているため、高品質の車両を購入するのに大金を費やす必要はないということだ」とサージェントは述べている。
ブランド別ランキング
ブランド別ランキングでは、起亜が72PP100で2年連続、第1位となった。
第2位はジェネシス(77PP100)、第3位はポルシェ(78PP100)、第4位は同率でフォードとラム(86PP100)が入った。
新車の初期品質が最も改善したブランドはミニで、昨年から33PP100改善した。他には、ラム(28PP100の改善)、アキュラ(19 PP100)、ボルボ(18PP100)、フォード(16PP100)で大きな改善が見られた。
セグメント別ランキングは現代自動車が5モデル受賞で最多
セグメント別ランキングでは、現代自動車が5モデルでアワードを受賞して最多となり、続いてゼネラルモーターズとBMWのそれぞれ4モデルがアワードを受賞した。
現代自動車:起亜・カデンツァ、起亜・フォルテ、起亜・ニロ、起亜・ソレント、起亜・ソウル
ゼネラルモーターズ:シボレー・シルバラード、シボレー・シルバラードHD、シボレー・ソニック、GMC・テレイン
BMW:BMW・2シリーズ、BMW・4シリーズ、BMW・X6、ミニ・クーパー
その他に、クライスラー・パシフィカ、フォード・エクスペディション、フォード・マスタング、インフィニティ・QX80、レクサス・GS、メルセデス・ベンツ・GLA、日産・フロンティア、ポルシェ 911、ポルシェ・マカン、トヨタ・カムリがセグメント別アワードを受賞した。
工場別ではトヨタ自動車の九州第2工場がプラチナ賞を受賞
レクサス・ESおよびレクサス・RXを製造するトヨタ自動車の九州第2工場(日本)が、不具合指摘件数が最も少ないモデルを生産してプラチナ賞を受賞した。プラントアワードには設計不具合は含まれず、製造不具合のみに基づいている。北米/南米地域では、シボレー・シルバラードおよびGMC・シエラを製造するゼネラルモーターズのフォートウェイン工場(インディアナ州)がゴールド賞を受賞した。また、欧州/アフリカ地域では、ポルシェ・カイエンおよびポルシェ・マカンを製造するポルシェのライプツィヒ工場がゴールド賞を受賞した。
参考:初期品質の調査結果の詳細、および車両モデルの写真や仕様