まさかの時代にするべき改善とは?【2】

まさかの時代にするべき改善とは?【2】

先回、「まさかの時代」にするべきこととして、今すぐに実行して「もうできちゃったの、まさか!」と人に言わせることだと申し上げました

 

しかし実際にやろうとするといろいろな障害が出てくるものです

今回はそれらの障害についてお話しします

 

例えば現在のやり方に対して全く違う新しい方法が提案されて、もしそれが実現したらとてもいいことが起きそうだという事例を想定します

間違いなく全員一致で改善実行が始まるかと思いきや、けっこう反対意見が出たりします

 

ナゼでしょうか?

もちろんいろいろなケースがあるとは思いますが、私が出会う一番多い事例をご紹介します

 

私たち日本の製造業は改善実行レベルが高いので、どんな仕事でもそれなりにやりやすい方法に改善がされていて、その時点でかなりバランスが取れてしまっているのです

そこでこれから更にいい方法に変わるといっても、その変わる過程でバランスが崩れる瞬間があります

その時にボトルネックになる工程の人たちに大きな無理がかかりそこから悲鳴が上がる可能性があるということです

 

すなわちその人たちにとってはその改善を実行することがとてつもなくリスキーで心配なことなのです

そういうことを考慮しないで、いいことなんだからとにかくやれ!と言ってあとはお任せとなってしまうと大変な問題が発生するのです

 

そこで、そのような問題が起きてもみんなで協力してボトルネックを発生させないような準備が必要ということになります

みんなで助け合って次のステップに進むのです

変化の瞬間に発生するすごく大きい負荷を前もって察知して全員で準備することで、みんなが安心して新しい仕事のやり方にチャレンジできるでしょう

 

このように一つのことをみんなで実行することにより、情報の共有化が進み助け合いによるチームワークのレベルアップにつながるのです

柿内_まさかの時代②_001

◎現場改善No.1コンサルタント。大手自動車メーカーにて、一貫して生産効率改善(IE)を担当し、その改善手腕を見込まれて、社命にてスタンフォード大学大学院に留学。帰国後、若くしてIE責任者として、全国の主力工場を指導、抜群の成績をあげる。 ◎現在、 柿内幸夫技術士事務所の所長 として、自動車、家電、食品、IT関連メーカーなどを指導。「現場で、全社員が一緒に改善する実勢指導」という独自のノウハウで、社長・工場長はもとより、現場の人たちから絶大な信頼をよせられる。中小企業のドロ臭さと、最新鋭の工場ラインの双方を熟知した手腕に、国内だけでなく欧米、中国、アジアの工場の指導に東奔西走する毎日である。 ◎1951年東京生まれ。東京工業大学工学部経営工学科卒業、スタンフォード大学修士課程修了、慶応大学にて工学博士号取得。 ◎著書「最強のモノづくり」(御沓佳美 共著)「“KZ法”工場改善」「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「5Sでつくる高収益工場ビデオ」「図解でわかる生産の実務 現場改善」「現場改善入門」「現場の問題解決マニュアル」他多数。平成16年日本経営工学会経営システム賞受賞。工学博士、技術士(経営工学)。