なぜいまVRなのか?製造業におけるVR活用法
仮想現実とも言われるバーチャルリアリティ。
映画やゲームなどエンタテインメント分野ではすでに活用されており、特に最近ではスマートフォンを取り付けてVRが体験できるヘッドマウントディスプレイ(HMD)が販売され、PlayStationVRも4月29日に発売を開始するなど、個人が手軽にVRを楽しめる時代になっています。
最近では、VRを製造業でも活用しようという取り組みが活発化しつつあります。今回は、製造業におけるVR活用法とその効果を考えてみます。
1.製造や保守・点検トレーニングへの活用
実際の作業環境をVRで再現し、作業者はその中で作業手順を頭と体で覚えることで、「習うより慣れろ」を実現できます。特に組み立て作業のような作業手順を覚えるのが一苦労というようなものには最適。また危険を察知する安全教育などにも使われています。
例:日経新聞、操縦訓練やデザインも VR・AR市場拡大
日本航空では、機体の整備にVRを活用し、実機を使った訓練以外の時間にVRを取り入れることで訓練の質をあげているとのこと。
特に国内における技術者不足と生産性の向上、ベテランから若手への技術継承に対する問題解決、海外工場での作業員のトレーニングやスキルアップなどに期待されています。
2.より現実に近い設計・試作シミュレーション
もうひとつVR活用への効果が高いと言われているのが、設計段階におけるシミュレーションです。
CPS(サイバーフィジカルシステム)やデジタルツインなど、リアルをコンピュータ上に再現するシミュレーションが盛んですが、それをVRでさらに高度化しようという取り組みです。
既存のシミュレーションはモノの大きさを実物大で現すことが不可能。どんなにPCでシミュレーションを重ねても、実際に人が入った時の感覚とはズレがあります。そこをVRを使うことで、より現実に近い空間を再現することができます。
3.実際にVR空間内でモノ(試作品)を作る
また一部では、VR空間内でモノを自由に作ってしまおうという試みも。
Oculusは、HMDと手にはコントローラを身につけ、VR内の特別工具で材料を吐出したり、切ったり削ったり、磨いたりしてモックアップを作ることができます。自らの体を使って作業するので、より空間を意識できるとのこと。
さて、製造業のVR活用はまだ始まったばかり。
AR(拡張現実)も含めた世界の市場規模は20兆円を超えるという見方もあります。
労働力不足、生産性向上、競争力のある製品づくり。。。
VRは、日本が直面している課題すべてに対し、大なり小なり解決策となり得ます。
4月から5月にかけて名古屋地域で産業向けのVR関連のイベントがあります。
これも製造業におけるVR活用が有望視されている証拠かもしれませんね。
参考:グリーとVR コンソーシアム、5月30日・31日、日経BPと共同開催するJapan VR Summit Nagoya 2017開催
参考:デルとNVIDIA、4月24日、自動車製造関連業向けVRセミナーを名古屋で開催
出典:NIKKEI、操縦訓練やデザインも VR・AR市場拡大