ご機嫌な現場
貴社の現場は、“ご機嫌な現場”ですか?
1.現場を動かす生産管理
“現場を動かす生産管理”、これは弊社が考える生産管理のイメージです。
しばしば申し上げていることですが、工場経営の本質は他人を通じて経営者の想いを実現させることにあります。
経営者や経営幹部が、自ら現場で実務に従事しても、たかだか工数分の成果しか得られません。
創業当時、少人数で事業を回すため、現場を仕切りながら営業活動に汗を流した経営者は少なくはないでしょう。
プレーイングマネージャーとして、社外で、社内で、八面六臂の活躍をしていた経営者も多いのではないでしょうか?
それが、今や、それなりの人員規模になり、曲がりなりにも、組織として仕事をする状況に至ったわけです。
人を採用し、OJTやOFF-JTで現場の戦力に育てる手間を、“わざわざ”掛けています。
“わざわざ”です。
なぜでしょう?
組織やチームで仕事をする方が“お得”だからです。
より一層大きな成果が得られます。
“人”の連携で、生産性が高まるからです。
ただし、それには、組織をやチームを生かす、つまり“他人”に動いてもらう必要があります。
活気ある現場、やる気に満ちた現場にこだわって、ご支援のプロジェクトで、現場の一体化から着手するのはそのためです。
“他人”に動いてもらう以上、何の迷いも持つことなく、現場での仕事に熱中できる環境整備が絶対に必要であると考えています。
中小製造業の経営者には、人を生かす視点で、生産管理3本柱を体系的に使っていただきたいです。
2.現場のやる気を引き出す3つのポイント
生産管理に人を動かす役割を担ってもらいたかったら、生産管理が元来持っている“見える化”の機能を存分に発揮させなければなりません。
そして、見える化の一歩目は、実績を地道に取り続けることです。
実績から、基準を設定するためです。
ただし、もともと生産活動で手が一杯の現場に、こうした業務をしっかりやらせることは意外と難しいと気が付くのではないでしょうか?
自発的に動く姿勢が現場になければ、こうした仕事はやり切れません。
現場のやる気を引き出す3つのポイント、自律性、有能性、大きな目的、これらがそろって取り組める仕事です。
人を動かす、生かすという観点に立つとき、その対極にあるのは“ブラック企業”です。
ブラック企業の定義は種々ありそうですが、“人を大切にする意識に欠け、人を生かす仕掛けが無い企業”は、的を射た定義のひとつではないでしょうか?
そのブラック企業に対して、“ホワイト企業”も定義されています。
3.ホワイト企業の3つの要素とプラスアルファ
有識者からなる「ホワイト企業大賞」企画委員会というのがあります。
2014年に設置されました。
「ホワイト企業大賞」受賞候補企業を他薦自薦で募集し、受賞企業を選定します。
ちなみに、第1回ホワイト企業大賞は2015年1月に授賞式が行われ、2つの企業が選ばれました。
・ネッツトヨタ南国株式会社
・未来工業株式会社
その「ホワイト企業大賞」企画委員会の選考委員を発足時から担っている辻 秀一氏が“応用スポーツ心理学から見る「ホワイト企業」に必要な3つの要素について”2018/06/13付けのForbes Japanで語っています。
辻氏の専門は応用スポーツ心理学です。
辻氏はホワイト企業を次のように定義しています。
ここでは「ホワイト企業=社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業」と敢えて曖昧な定義で取り組んでいるが、私個人の言葉で言うと、社員1人1人が働き甲斐や幸せ感や貢献感を感じている「ご機嫌な会社」のことを指す。
(出典:2018/06/13付けForbes Japan)
「ご機嫌な会社」とは、なかなか言い得て妙です。
 +
(中略)
このようなホワイト企業大賞への道を歩もうとしている会社を、私の専門とする応用スポーツ心理学、そして「ご機嫌力」の視点で分析し解説してみたい。
一般的な組織の構成要素は、必ず「個」「周」「場」の3要素から成り立っている。
つまり、個人性・関係性・全体性の3つだ。
この3要素のレベルを人間としての心理学視点から考えたとき、ホワイトな組織には、必ずといっていいほど「個人の自立」「関係の信頼」、そして「全体の共有」がキーワードになってくる。
(出典:2018/06/13付けForbes Japan)
現場のやる気を引き出す3つのポイント、自律性、有能性、大きな目的と整合性がとれそうな言葉が並んでいます。
個人性-「個人の自立」-自律性
関係性-「関係の信頼」-有能性
全体性-「全体の共有」-大きな目的
こんな風になりそうです。
さらに辻氏は、中でも重要なのは「個人の自立」であるとしています。
中でも重要なのが、「個人の自立」だ。
個人の自立は、関係の信頼や全体の共有を生み出す前提条件である。
個人が自立している状態とは、個人のパフォーマンスに責任を持っている状態のこと。
パフォーマンスとは「何を、どんな心で実行するか」で規定されるため、自立とは「何を」と「どんな心」に責任をもつことが重要である。
それと同時にもう一つ大切なことは、私が専門にしている「どんな心」なのか。
何を実行していても、そこには心の状態が常に関与する。
揺らがず・とらわれずの自然体で、機嫌のよいフローな心の状態か、そうでない不機嫌なノンフローの状態なのかで行動の質は決定されている。
不機嫌の状態で「何か」を実行していると、それが誰であろうと、実行内容が何であろうと、間違いなくその質は低くなる。
つまりこれは、その人自身が自分のパフォーマンスの質に責任を負っていない状態だと言える。
機嫌の悪い状態で仕事をする、つまり結果として生まれるものの質が明らかに低下することが分かっているのにも関わらず、行動をすることは無責任とも言えるだろう。
(出典:2018/06/13付けForbes Japan)
辻氏はフローな心の状態で仕事をしないと仕事の質は落ちると指摘しています。
フローな心の状態とは機嫌のよいときの状態。
さらに、辻氏はフローでない状態で仕事をするのは個人の無責任さの表れだとしていますが、少々厳しい見解だなぁとも感じますね。
現場にしてみれば、現場単独で”フローな心の状態”で仕事ができる環境をつくれるわけではないですから。
ただし、現場からやる気を引き出す3つのポイントでも、結局は、ひとりひとりが“その気”にならないと始まらないという点は全く同じです。
だから、普通の現場を、“ご機嫌な現場”に変える仕掛けをするのは経営者の仕事です。
仕掛けによって、現場がフローな心の状態に至れば、現場は自発的に動いてくれるでしょう。
そうなれば、“ヤラサレ感”はなくなり、使命感に燃えたチームが機能するのではないでしょうか?
“ご機嫌な現場”。
このキーワードも使えます。
現場からやる気を引き出す3つのポイントで自発性を促す仕掛けをしませんか?
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