これからの変化の時代に向けてのカイゼン【20】

これからの変化の時代に向けてのカイゼン【20】

今回は『儲かるメーカー 改善の急所101項』【急所39】の解説です。

【急所39】問題は、見えるようにした時点で八割解決する。(2)

 

先回の文章は、「すぐに現場に行って見えていないモノを探して見えるようにしてください。」で終わりました。

いかがでしたか、見えていないモノが見つかりましたか?

 

先回のマンガで社長が「とんちじゃないわ!!」と言っていましたが、まるでとんち問答のようだと思った方もおられたかもしれませんね。

そうなんです、「見えていないモノが何か?」はかなり高度な問いかけです。

 

でも実は見えていないモノは驚くほどたくさんあります。

例えばトヨタ生産方式の「7つのムダ」。

言えますか?

 

つくり過ぎのムダ、

手待ちのムダ、

運搬のムダ、

加工そのもののムダ、

在庫のムダ、

動作のムダ、

不良を作るムダ、

 

この7つのムダのない工場はないでしょう。

どこにいってもたくさんあります。

 

しかしそれらの多くが見えない状態で存在しているからたちが悪いのです。

もしこれが全部見えるようになって、すべてをみんなで改善していったら不良はゼロになりコストは半減するのではないでしょうか!

 

そこでこれからこの7つのムダの改善を始めたいと思います。

今日はその初日です。

早速宿題を出しますね。

 

この7つを暗記してください。

手帳に書いておいてその都度見るでは遅すぎます。

 

頭の中にこの7つのムダをがっちり彫り込んで、現場に立って周りを見ると、次から次へとこのムダが見えてしまい気になってしょうがないという状態を作るのです。

そのためにはまず暗記すること、そうするとこれまで見えなかったムダが次々と目の前に現れます。

ムダが発生したのではありません。

元々あったのに見えなかったので放置されていたのが見えるようになったのです。

 

とはいえ、この頃はコンピュータやスマホなど便利なツールの発達のお蔭で、私たちは日常生活でモノを暗記する必要がほぼありません。

ですからたかが7つといえけっこう苦労する可能性があります。

 

私がそうでした。

26年前にコンサルタントになった時に、この暗記がなかなかできなかったという情けないスタートを切ったのです。

 

そこで私はつくり過ぎの「つ」、手待ちの「て」、運搬の「う」と頭文字(?)を並べて「つてうかざどふ」といって覚えました。

これはトヨタ生産方式の順番ですが、順番を気にしないなら「かざってとうふ」でもOKです。

 

リーダーには武器が必要です。

7つのムダの暗記はその一つです。

次回までに頑張って武器を一つ増やしてください!

これからの変化の時代に向けてのカイゼン【20】

◎現場改善No.1コンサルタント。大手自動車メーカーにて、一貫して生産効率改善(IE)を担当し、その改善手腕を見込まれて、社命にてスタンフォード大学大学院に留学。帰国後、若くしてIE責任者として、全国の主力工場を指導、抜群の成績をあげる。 ◎現在、 柿内幸夫技術士事務所の所長 として、自動車、家電、食品、IT関連メーカーなどを指導。「現場で、全社員が一緒に改善する実勢指導」という独自のノウハウで、社長・工場長はもとより、現場の人たちから絶大な信頼をよせられる。中小企業のドロ臭さと、最新鋭の工場ラインの双方を熟知した手腕に、国内だけでなく欧米、中国、アジアの工場の指導に東奔西走する毎日である。 ◎1951年東京生まれ。東京工業大学工学部経営工学科卒業、スタンフォード大学修士課程修了、慶応大学にて工学博士号取得。 ◎著書「最強のモノづくり」(御沓佳美 共著)「“KZ法”工場改善」「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「5Sでつくる高収益工場ビデオ」「図解でわかる生産の実務 現場改善」「現場改善入門」「現場の問題解決マニュアル」他多数。平成16年日本経営工学会経営システム賞受賞。工学博士、技術士(経営工学)。