これからの変化の時代に向けてのカイゼン【18】

これからの変化の時代に向けてのカイゼン【18】

今回は『儲かるメーカー 改善の急所101項』【急所65】解説の最終回です。

【急所65】設計改善は、現場改善に100倍勝る。(4)

 

設計というと設計図面を思い浮かべる方も多いと思うのですが、今回は設計の範囲をもう少し広げて、仕事のやり方の設計といった感じで考えてみます。

 

先々回の号でO社の事例をご紹介しました。

営業・設計・製造間の情報の共有化をレベルアップするための席替えの事例でした。

O社の場合は仕事の忙しさが半端でなくなったという問題発生からの改善でしたが、それを最初から情報が共有化できる事務所の設計というように考えられたらとてもいいですね。

 

今、私たち日本の製造業は大きな時代の変化点に来ています。

少子高齢化による労働人口の減少は一過性のものではありません。

これからずっと続きます。

 

そうであるとすると、

現状を前提としてその中にあるムダを見つけて取っていくというこれまでのやり方だけでは十分な答えが得られない可能性があります。

最初から全体最適で理想的な姿をみんなで集まってワイワイガヤガヤで設計するやり方をすることも大切です。

 

その時の方法ですが、最も小さいあるいは最も少ないリソース(人・モノ・設備)から始めて、もし不十分であったら一つずつ足していくといったアプローチをすると良い考え・発想が出やすいと思います。

 

例えば100個のランプがついている工場のランプの数を節電のために減らそうとしたときに、99個、98個と一つずつ減らしていって限界を探るやり方と、最初に真っ暗にしてしまって、次にひとつひとつ増やしていくというやり方のどちらがより少ないランプの工場を作れると思いますか?

 

私は後者のゼロから増やすやり方だと思います。

引き算発想でなく足し算発想です。

 

例えば営業が取ってきた注文内容をその場で設計と生産技術と製造が一緒に聞いて、管理を通さずにすぐに生産ができてしまうようなシンプルな仕事のやり方はできないでしょうか?

 

この考え方は慶応大学名誉教授の中村善太郎先生の原点構想案という考え方に基づいていますが、私たちは現在の状況に強く影響されてしまい大胆な発想ができなくなっていることが多いのです。

 

それを打破して革新的な改善案を出す方法としてぜひ参考になさってください。

これからの変化の時代に向けてのカイゼン【18】

◎現場改善No.1コンサルタント。大手自動車メーカーにて、一貫して生産効率改善(IE)を担当し、その改善手腕を見込まれて、社命にてスタンフォード大学大学院に留学。帰国後、若くしてIE責任者として、全国の主力工場を指導、抜群の成績をあげる。 ◎現在、 柿内幸夫技術士事務所の所長 として、自動車、家電、食品、IT関連メーカーなどを指導。「現場で、全社員が一緒に改善する実勢指導」という独自のノウハウで、社長・工場長はもとより、現場の人たちから絶大な信頼をよせられる。中小企業のドロ臭さと、最新鋭の工場ラインの双方を熟知した手腕に、国内だけでなく欧米、中国、アジアの工場の指導に東奔西走する毎日である。 ◎1951年東京生まれ。東京工業大学工学部経営工学科卒業、スタンフォード大学修士課程修了、慶応大学にて工学博士号取得。 ◎著書「最強のモノづくり」(御沓佳美 共著)「“KZ法”工場改善」「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「5Sでつくる高収益工場ビデオ」「図解でわかる生産の実務 現場改善」「現場改善入門」「現場の問題解決マニュアル」他多数。平成16年日本経営工学会経営システム賞受賞。工学博士、技術士(経営工学)。