この世で最も愛される実験用品とは【応用編】

この世で最も愛される実験用品とは【応用編】

前回、この世で最も愛される実験用品であるキムワイプに関する基本的な知識と魅力を説明したが、キムワイプには様々な信仰勢力が存在し、日夜混沌の争いを続け予断を許さぬ緊迫状態が続いている。

 

下記は小生が昨年、キムワイプ学術振興会に寄稿した拙論、「キムワイプ中毒者より形成される信仰体系、及びそのSAN値減少効果について」より現在のキムワイプ界を支配する5大信仰勢力の解説を抜粋したものであり、キムワイプ学をこれから学ばんと志す諸兄姉へ参考の一助となれば幸いである。

 

なおこの文章は、小生の独断と偏見と戯言によって構成されていることを予めご承知おき頂きたい。

 

正道K協会

キムワイプにおける最大勢力宗派であり、キムワイプ本来の使用目的である汚れをふき取るという正規の使用方法を教義としている穏健派である。

但し、キムワイプのライバル商品である「プロワイプ」「ASJワイパー」らを目の敵にし、「他のやつを使ったら再現性が得られないだろうが!絶対にキムワイプを使え!」と叫ぶ過激なキムワイプ至上主義者も内在しているため、同類他社製品には敏感な取扱いが必要とされる。

 

ムダニ教(スンナ派)

ムダニ教は正道K協会より枝分かれした宗派であり、特にその中でも厳しい戒律を敷いているのが、ムダニ=スンナ派である。

スンナ派は主に予算の厳しい研究室及び開発部署において信仰率が高い傾向にあり、キムワイプを汚れふき取り以外の使用目的を一切認めていない。

キムワイプは購入数が厳しく管理されているため、基本的には支給制となっており、1枚のキムワイプを限界まで使用することが最大教義となっている。

場合においては余りにも過酷な環境のため、北朝鮮におけるチョコパイ、米国刑務所におけるインスタントラーメンと同様に、キムワイプが主要通貨として流用されているのも1つの特徴と言える。

 

ムダニ教(シーヤ派)

スンナ派と同じく正道K協会より枝分かれした宗派であるが、スンナ派とは全く真逆の教義を敷くのがムダニ=シーヤ派である。

教義内容はとにかく自由にキムワイプを使用することである。

但し、この宗派は必ずキムワイプを鼻かみ用として利用して鼻を真っ赤にし、眼鏡拭きとして利用して眼鏡を傷だらけにすることが通過儀礼(イニシエーション)となっており、これらを無事経験した者が晴れてシーヤ派として認められる。

なお、スンナ派はシーヤ派を激しく敵視しているため、ムダニ教ではこの2派による抗争が絶えず行われている悲しき現状があることも忘れてはならない。

 

KTTA

本来、実験用品として誕生したキムワイプであるが、それを卓球スポーツへと昇華せしめたのがKTTA(国際キムワイプ卓球協会)である。

KTTAは専用HPの開設Youtubeへの動画投稿など外部へのアピールに注力した結果、若年層を中心として支持形態を広げており、現在では世界規模の団体となるとなるほどの盛況ぶりである。

但し、試合に負けた際は、「天井からぶら下がっているコンセントが邪魔だった」「球にコンタミが付着している。再洗浄を要求する」「窒素雰囲気下でプレイするべきだ」等と激しい言い訳争いに発展する事例が少なくないため、事前に規則に関する仕様書を取り交わすことをお勧めする。

 

K派味覚党

キムワイプを愛し過ぎたが故の末路、悲しき終焉者たちの集う宗派が、このK派味覚党である。

彼らの教義はただ一つ。

キムワイプを食するということだけである。

当然、キムワイプは人類には分解不可のセルロース製。

無害とは言え、常人には食し難いことは必定である。

しかし、時としてキムワイプ愛は肉体を、常識を凌駕する。

彼らは時に生で、時に醤油で、時に塩コショウで、各々の確固たる信条と狂気を胸にキムワイプを食するのだ。

一度入信すると抜け出すことはほぼ不可能な程に中毒性の高い宗派のため、一種の精神疾患ではないかとの声もあがっているが、今の所その因果関係は証明されておらず、目下早急な信仰条件と治療方法の解明が急がれている。

なお、小生のおすすめはポン酢である。

 

以上、2回に渡りこの世で最も愛される実験用品「キムワイプ」の解説したが、如何であっただろうか。

 

小生は、少しでもキムワイプに対する偏見がこの世からなくなり、誰もが平和にキムワイプを利用できる日が訪れることを切に願いながら、一先ず擱筆することとする。


創業40年の製造業。ダイヤモンド事業からスタートしたテクダイヤは、会社本来の「人好き」が作用し、人との出会いを繰り返しながら業態変化を続ける。 現在はセラミック応用技術・精密機械加工技術・ダイヤモンド加工技術をコアとしながら先端技術のものづくりを支える。スマホやデータセンターなどの通信市場、更にはNASAやバイオ領域にも進出中。