この世で最も愛される実験用品とは【基礎編】
ビーカー、ピンセット、顕微鏡、ノギス、関数電卓……世に実験用品は綺羅星の如く数多有るなれど、最も人々に愛される実験用品は何であろうか。
小生、こと実験屋においてそれは「キムワイプ」であると、ここに断言する。
画面の前で固く頷く賢明なる諸兄姉には、もはやこの真理をわざわざ文字に起こし説明するのも馬鹿馬鹿しい限りだが、世にはキムワイプを知らぬ奇特な諸氏がいる様子。
ならば小生、幾千幾万の言葉にて、その魅力を余すことなく語り尽くす所存であるが、残念ながらフェルマー氏同様、小生にはその余白が許されていないため、ここは簡潔かつ明瞭に語らせて頂こう。
まずキムワイプとは何か。
答えは、日本製紙クレシア(株)より販売されている紙製ワイパーである。
似て非なる存在としてティッシュペーパーが挙げられるが、ここでキムワイプに対して無知なる諸氏に最大限警戒して頂きたいのは、一部キムワイプ信者(各宗派に関しては次回「応用編」にて説明)に「それってティッシュでしょ?」と言う事は、広島県民に対して、広島風お好み焼きを広島焼きと言うに等しい暴挙だということである。
その際、刃傷沙汰になっても小生は一切関知しないため是非ともご承知おき頂きたい。
そも俗なティッシュとの最大の相違点は、その毛羽立ちの少なさと、ふき取り後の繊維が目立たない点である。
よってキムワイプは通常、実験用品の汚れのふき取り用として主に使用される。
さて、そんな単純明快なキムワイプだが、そこには無限の魅力が込められている。
だが、小生がその魅力を敢えて絞るならば、それは「デザイン」と「万能性」であろう。
まずデザインだが、キムワイプの外装は黄緑、緑、白の3色によって構成されたシンプルかつ洗練されたデザインとなっている。
箱表面に映える緑の虹、側面には美しい3色ストライプとロゴマーク、裏面にはキモいマスコット(現在は廃止されている模様)と実に魅力的で、この魅力に取り憑かれた者はこの3色カラーで構成された物を全てキムワイプと認識するようになる。
人身の認識をも歪めるこの力はもはや魔力と呼んで差支えないだろう。
次に万能性だが、汚れふき用としてこの世に降臨したキムワイプであるが、その応用方法に関しては枚挙に暇がない。
観賞用しての機能は勿論のこと、時に通貨、時に食用、時にスポーツ競技として機能するキムワイプの可能性(詳細は次回「応用編」にて記載)は無限であり、もはやキムワイプに不可能な事などあるのだろうか、いやない(反語法)、といった有様である。
以上、キムワイプの魅力を小生の可能な限り最小に纏めたが、その魅力の一端でも伝われば幸いである。
これ程の魅力溢れる実験用品は、後にも先にもキムワイプただ1つと小生は確信しているが、その魅力の高さ故、中毒性が高く、狂気に取り憑かれた者達が後を絶たない事も周知の事実である。
キムワイプ初心者はその点に十分留意し、充実したキムワイプライフを送ることを切に願う。