ここまで必要!改善の動作分析をする目|元トヨタマンの目
トヨタで改善で動作分析をする際には、徹底的に分析することを教えられた。
その際の具体的事例として次のような話があったので紹介したい。すこし尾籠な部分もあるがまじめな話なのでお付き合い願いたい。
ウォシュレットのない時代の話だ。まずトイレで用をたす場合の手順を述べる。
①用をたす
②ティッシュで拭く
③衣服を元に戻す
④手を洗う
このような手順になることに、どなたも異議はないと思う。
しかしここにすでにおかしな点がある。それは④で手を洗うという行為は、②で手が汚れたという前提で行なわれる。
しかしもし②で手が汚れているとすれば③の行為をした時に衣服に汚れが付いてしまうことになるではないか。
違う言い方をすれば、②で手が汚れて③の行為を行なえば、衣服についてその汚れがとれてしまうのだから④であえて手を洗わなくてもいいのではないか……という風にも言えるのではないだろうか。
したがって、本当に厳密に言うなら
①用をたす
②ティッシュで拭く
③その姿勢で手を洗う(その位置に手洗い場を設置しなければならないが)
④衣服を元に戻す
という手順でなければならないわけだ。
実際には手にはついていないのに、生暖かい感触から、ついたような気がして汚いような感じがするから、物理的に手を洗える最後の段階で手を洗えばすっきりした気持ちになる、といったのが本当のところではないだろうか。
この話を初めて聞いた時、衝撃を受けた。
生まれてから当たり前だと思って何の疑問ももっていなかったことも、じっくり観察してみるとおかしなこともあるものだと考えさせられてしまった。
私が改善の世界にのめり込んだきっかけはこの変な動作分析の話ではなかったかと、今考えてみると思うのである。