【Dの問題】PDCAは小さな宇宙
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9.5 PDCAは小さな宇宙
さて、いよいよ最終稿。
営業活動に始まり、生・販にまたがる全社的なシステムの話をしてきたのに工場の片隅で行われているような小日程管理でおしまいというのは、なんだか尻つぼみで物足りないと感じるかもしれません。
でも、それは大きな間違いです。小日程計画を作ってラインに指示を出せば、生産のプロセスが動き出します。
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このように考えると、小日程管理をひとつのプロセスにした大きなPDCAが見えてくるでしょう。
その小日程管理の前には、部材調達管理や負荷能力管理のPDCAが、さらにその前には、注文管理や在庫管理のPDCAが回って生産管理の大きなPDCAを回しています。
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その生産管理のPDCAは、販売管理や原価管理などと共に企業を構成する重要なマネジメントのひとつです。
PDCAは同じレベルに留まっているのではなく、回すことによってレベルが上がっていく、つまり、スパイラルアップするという話を聞いたことがあるでしょう。
生産管理のような大きなPDCAは、このスパイラルが二重にも三重にもなっている……そんなイメージです。
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この一つ一つのPDCAが回ることで、大きなPDCAがスパイラルアップしていく。
だから、たとえ工場の片隅で行われている小さな仕組みでも、しっかりとPDCAを回すこと。
それができないと、全体のレベルアップができません。そして、その大きなPDCAも、さらに大きなPDCAを回す力になっています。
こうしたつながりは、まるで月が地球の周りを回り、その地球が太陽の周りを回り、太陽がまた大きな銀河系の渦の中で回っている大宇宙の姿を思い起こさせます。
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そう考えると、小日程管理もひとつの小さな宇宙です。
「Dの問題」は小日程管理で終わりではありません。この章は、次のレベルにスパイラルアップするためのプロセスのひとつです。
……そういえば、2章の初めに、求めるシステムの姿として宇宙船のブリッジをイメージしたのも、何かの示唆だったかもしれませんね。
一人一人が未知なる宇宙を旅する宇宙船のクルーとなって、改善という重要な任務を担っています。
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任務を放棄すればスパイラルは止まり、必ず元に戻ってしまいます。
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……これを先祖返りと言います。
そうならないように、改善を繰り返し、小さなPDCAをしっかりと回していってくださいね。
<おしまい>