【Dの問題】川の流れのように
※当コンテンツは『面白狩り』の提供でお届けしています。
6.4 川の流れのように
【問題14】作業改善によって工数削減ができたのに、リードタイムは逆に長くなってしまった。
ほとんどの会社・職場が、改善とは金を掛けないコストダウンのことと思っています。
ま、最初は小さなことでも構いませんからきちんと成果を出していきましょう。
しかし、ある程度慣れてきたら、工場方針や年度計画に基づく活動にしないと、改善成果が空回りしてきます。
空回りを繰り返しているうちに、単に手法を使ったり、発表会をすることが改善と思い込んでしまい、そのうち、何もしなくなってしまうのです。
改善とは問題解決のことです。問題とは何か? そこから始めます。
『品質でもうけなさい』を参照。
このことがわかっていないと、この例のような見掛け上のコストダウンで良しとしてしまいます。
とりあえずコストダウンは忘れましょう。
目の前の問題はリードタイムの短縮です。これに絞って考えます。
まず、決してまとめて作ってはいけません。
この例のような作り方は、いくら作業者が楽でも、滞留ばかりになってしまうことは、品物目線ですぐにわかりますね。
求める姿は、川の流れのように、素材から完成まで一切の滞留をなくし、常に変化している(付加価値を生んでいる)ようにしたいのです。
つまり、加工したらすぐ次の加工を行う、これを最後まで続けたい。どうしたらそのようにできるか? ……ここが、みんなの知恵の絞りどころです。
これでスムーズに流れるならともかく、現実はそう甘くありません。
工程によって生産サイクルが異なると、やはり手待ちや滞留が起こります。
これを修正するには2つの方法があります。一つはラインバランシング、もう一つはセル化という方法です。
ラインの中で生産サイクルの最も大きい工程のことをネック工程と呼びます。
ネック工程があるとその前で仕掛品が滞留し、その後ろで手待ちが発生します。
また、他の工程をいくら改善してもネック工程がライン全体の生産サイクルとなってしまいます。
まず、このネック工程の改善から始めて、各工程がほぼ同じサイクルタイムになるように作業内容を調整すれば、手待ちや滞留がなくなります。
これがラインバランシングです。
ラインバランシングは作業負荷の公平性を保つためにストップウォッチやPTS法を用いて、できるだけ正確に把握した実際の時間値をベースに検討します。
各工程のサイクルタイムを調整するときは、作業を要素作業に分割し、改善のECRS(ナナトヤ)を参考にして行うと良いでしょう。
例を上げれば、
- そのラインでやる必要のない要素作業があれば、他の場所で行う。(ナクス)
- 複数の要素作業を同時に行うことで時間短縮する。(ナガラ)
- ネック工程の要素作業を他の工程で行わせることで平準化する。(トリカエ)
- ネック工程とその他の工程の要素作業を交換することで時間調整する。(トリカエ)
- 作業するポイントとポイントの距離を短くして、動作しやすくする。(ヤサシク)
- 邪魔な障害物があれば取り除いて、動作しやすくする。(ヤサシク)
- 治具を工夫して、取り置きのムダをなくす。(ヤサシク)
……などなどです。