【Dの問題】変更トラブルを最小限に
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4.5 変更トラブルを最小限に
【問題10】頻繁な注文変更が常態化して、工場の対応が全く追い付かず、在庫も増大するばかりになっている。
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注文が短納期となる大きな原因に仕様・数量・納期の変更があります。
営業がお客様の要求を工場に伝えるだけのメッセンジャー営業だと、工場の生産状況はおろか、在庫も確認しないで注文を受けてしまいます。
その結果、大きなトラブルになってお客様にも工場にも迷惑をかけることになります。4.4で営業マンの質の向上について触れたのは、こういう意味なのです。
変更依頼を受ける際は十分に注意しなければなりません。
営業があらかじめ、工場の生産状況を把握していれば別の対応も可能となるでしょう。
営業プロセスと製品仕様データベースを整備しておけば、例えば、下のような受注・製造工程表が作成できます。
製品仕様データベースには、機種別・仕様別の標準納期が登録されていますから、これを利用して、仕様決定・変更の時期を明確にするのです。
営業はこの表を参照して、どの時点でどこまで変更が可能かを念頭に受注対応します。
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営業は随時この表をチェックして、製造に混乱を起こす確定遅れやムリな注文変更に歯止めをかけます。
この表は営業・工場の双方が管理して、常に最新の情報に基づいた状態にします。また他部門も参照できるようにします。
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下は、機種ごとに標準工期を設定し、機種ごとの手番と連動して商談を進めていく受注生産の例です。
営業は商談情報を工場に送って、連絡を密に取り合い、顧客ニーズにムリなく応えられるように商談を進めていきます。
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その他、トラブルを回避するために、仕様決定や変更に関するルールを明確にしておきます。
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例えば、変更によるトラブルが起きた場合、販売予定枠内の受注を優先して生産することとし、枠を超えた場合はお客様と調整します。
また、お客様との間では受注後速やかに「納入仕様書」を取り交わして、製造仕様内容を確定しておきます。
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やむを得ず変更が生じた場合には、変更によるロスを金額で把握し、発生責任・原因を分析して再発の防止を図ります。
販売計画の精度向上は生産同期化の前提となるだけでなく、効果的な営業活動に寄与するものでなければなりません。
上の例のように、そのための仕組みを工夫していくことが重要な課題なのです。