【Dの問題】リードタイムとは

【Dの問題】リードタイムとは

6.リードタイムの短縮

販売計画の精度アップと生産同期化の仕組みは合理的な生産管理には不可欠です。

しかし、それだけで問題解決するわけでは決してありません。

短納期と在庫問題を根本的に解決するためには生産リードタイムを短縮する努力を怠ってはいけません。

注文を受けて、呪文をひと言となえればあっという間にものができてしまう。

そんな魔法使いのようなことができれば良いのですが、ものづくりには必ず時間がかかります。

そこで、生産リードタイム短縮について考えていきます。

6.1 リードタイムとは

ものづくりの作業は、基本的に主作業と付帯作業とに分けられます。

主作業にかかる時間が正味作業時間です。

加工するワーク1個ごとに現れますから、作業時間を見積もるには1個当たりの時間にロットサイズを掛けて計算します。

付帯作業はその中身によって現れ方が異なります。

 

段取作業は、ロットサイズに関係なく、ロットの切り替えで見積もった段取作業時間をそのままトータルの作業時間に加えます。

管理準備と運搬作業は、ロットサイズにも注文数にも関係なく現れるので、通常は作業時間の見積もりでは扱いません。(就業時間から除いておく)

作業時間を見積もるときは、この他に余裕を含めます。

余裕は、個々の時間を得るのが難しいので、余裕率という形で与えます。

余裕率はワークサンプリングなどの分析結果に基づいて、会社のポリシーで設定します。

 

旋盤作業を例にとってみましょう。

旋盤というのは、金属や樹脂などの素材をチャッキングし、モーターで高速回転させている状態のところに、バイトという刃物を当てて削っていく代表的な工作機械です。

ロットサイズ(n)の場合の作業時間(P)を見積もる式は

 

P=(W+S)×(1+α)
  =(wxn+S)×(1+α)
※wは1個当たり正味作業時間

 

となります。

 

今、ロットサイズが100個の注文がありました。

切削加工の後、表面処理、組立、調整、仕上げという工程を通って、完成します。

この所要時間を見積もる場合を考えてみましょう。計算の仕方は同じです。

所要時間は
 
363 + 240 + 237 + 132 + 127 = 1099[分] = 18.3[時間]

となり、これがこの注文の生産リードタイムです。

 

これを日単位に換算した値が手番です。1日の就業時間を7.5時間とすれば、

18.3 ÷ 7.5 ≒ 3[日] 

となります。

 

段取作業時間と1個当たり正味作業時間のテーブル(標準時間資料)をあらかじめ用意しておけば、注文数から手番の計算ができますから、この値を計画に利用するのです。

ただし、実際は、このようにきちんと手番を計算する例をあまり見ません。

切削で1日、表面処理で1日、組立で1日……と大雑把に数えていきます。もちろん、正しい手番とは言えません。

なぜ、こんな多めに数えるかというと、工程の前後でロットが滞留することを前提としているためで、困ったことに、実際、計算した手番通りには上がってこないのです。

 

出典:『Dの問題』面白狩り(おもしろがり)


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。