【Dの問題】ムリなくムラなく
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7.2 ムリなくムラなく
【問題16】 出荷間際になると仕事が集中して深夜残業の連続となる。
過去の実績から、受注量に見合った人員を配置しているはずなのに、生産開始すると楽に作業している工程もあればメチャクチャ忙しい工程もある。
ちゃんと負荷計算しているつもりでも、実際はそういうことがよくあります。
管理工程の中を流れ化しても、各管理工程間で生産サイクルが違っているとネック工程に相当する管理工程が現れて、この例のような問題が起きてしまいます。
負荷・能力管理は、過去の生産実績から計算して、作業者の頭数をそろえるような大雑把なやり方ではうまくいきません。
やはり、細かく中身を検討する必要があります。
そのためには、必要最低限の正確な時間見積り資料を用意しておかなければなりません。
こういった詳細な標準時間資料は、その設定や更新の手間が嫌われて、大きな会社を除けば活用している例はあまり多くありません。
また、現場での時間観測というと、大抵はムダの削減という名目で行われます。
しかし、観測される側からすると、怠けていないかと監視されているような気がしてすこぶる評判が悪い活動になります。
これは、被観測者に観測の目的をしっかり理解させていないことが最大の問題です。
正確なデータに基づいて作業負荷の平等化を図っているのに紋切り型のムダ削減とかコストダウンを掲げるから、現場に不信感をもたらすのです。
(これまで繰り返し述べてきたように)生産管理ではムダの削減よりも、ムリの排除、ムラの解消の方が重要です。
ムリ・ムラが余計なムダを生んでいるからです。
例えば、次のような場合、時間当り100台分の部品をライン投入したのに、75台しかできませんでした。
標準時間資料に基づいて、各管理工程の作業時間を詳しく調査したところ管理工程間に能力バラツキがあって、75台しか作れないネック工程が見えてきました。
冒頭のような問題が起こるのは、こんな場合です。
前がネック工程で能力がないために、出荷間際まで部品が流れて来ず、その結果、時間が足りなくなって大忙しになってしまうということです。
気付いていると思いますが、これは6.4の話と同じ問題です。6.4では作業工程間のバラツキでしたが、同じことは管理工程間でも、もっと大きな工場間や生産拠点間でも起こります。
これを部分最適化と言います。
つまり、自分のところだけ、いくら改善して能力アップしても全体のバランスが悪ければ問題は何も解消されないというわけです。
そこで、全体最適を目指さなければなりません。
まず、ネック工程を改善して能力アップを図ります。これがベスト。
しかし、改善が難しい場合は、その工程に人員増などで対応できるように対策します。
これはコスト増になりますが、ネックのままが良いかどうかを考えれば、答は自ずと明らかです。
ネック工程の能力アップに成功したら、すでに能力のある工程の能力調整をします。
それでも能力が余るところは、教育訓練を行ったり、生産保全活動を展開します。
次は、大日程計画から中日程計画への展開について考えましょう。