「ムダ」を楽と楽しさに変える楽々改善:【3】にんべんのついた自働化とは?
誰にも聞けない「トヨタ生産方式」現場改善コーチが伝授します
【3】にんべんのついた自働化とは?
TPSの二本柱のもう一つが、自働化です。オートマチックの自動化ではありません。
トヨタが生み出した単語で、にんべんが付いているので「にんべんのついた自働化」とも言います。
正確には次を意味します。
「機械設備の異常や、品質の異常、作業遅れなど何らかの異常が生じたら、機械設備が自ら異常を検知し、自動停止するようにしたり、作業者自身が停止スイッチを押してラインを止められるようにすること」
つまり、自動停止装置付きの機械のことを言います。
機械はスイッチを押すと、どんどん生産してくれます。
しかし、調子が悪くなると、どんどん不良品を生産することになるのです。
朝、工場に行ったら不良品の山だった、なんて状態が発生することになります。
機械に異常を検出する機能がないから、このようなことが発生するのです。
つまり、自働化のねらいは不良品を作らないことにあります。
「品質は工程でつくり込む」というトヨタの品質の考え方の根幹をなすものです。
機械だけでなく、組立工程では人の作業についても、作業者自らがラインを停める機能があります。
トヨタがラインを停めることはありえないと思われているかも知れませんが、工場見学に行くとちょくちょくラインが停まるのを目にします。
ラインが停まるのではなくて、積極的にラインを停めているのです。
組立作業を行うエリアには「紐スイッチ」という特殊なスイッチが設置されています。
紐のついたスイッチで、作業者が紐を引っ張ると、コンベアが停まるのです。
品質異常の発生、作業の遅れ、部品の異常など、作業者が判断して紐スイッチを作動させるのです。
すると、アンドンという工場の天井に設置された大型の表示器に、すぐに異常発生が表示されます。
それを見たラインの上司がすぐに現場に行き、異常を処置してラインを稼働させます。
異常が発生したら異常を解決してからでないと、ラインを動かさないのです。
自働化を実現するのは簡単ではありません。
トヨタでは、機械を購入しても異常を検出する機能がなければ、異常検出機能を追加した後、生産に投入するそうです。
紐スイッチが引かれ助けに行っても、助けられなければラインは停まったままになります。
そのため、何十工程も作業ができるベテランが現場におられるそうです。
トヨタでは莫大の投資と計画的な人材育成を行って、自働化を実現しているのです。
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