『道をひらく』で時を超えて変わらないものを知る
私が初めて社会人になった42年前、当時81歳だった祖父にこう言われた。
「部長になったつもりで自分のことを見てみなさい。
もしも、こいつは役に立たない、と思ったら、すぐに辞めるべきだ」
自分を自分で評価するのではなく、上司の目で評価する。
同様な考え方は、製品を評価するのは作り手ではなくユーザ、さらには市場である、ということにつながる。
120歳を超えた先輩(私の祖父)の言葉は、現代でも決して色あせてはおらず、真実を伝えている。
『道をひらく』(松下幸之助、PHP研究所)を読んだとき、祖父の言葉を思い出した。
なぜ、この本が500万部以上売れているのか、なぜ今も書店で平積みになっているのか、すぐに分かった。
時を超えて変わらない真実が書かれているからである。
私自身が大切にしてきたことが、言葉は変わってもちゃんと入っていることも嬉しい。
一つだけ、目からウロコが落ちた部分を紹介する。
「ピンとくる」という項である。
概略だけを書いてみる。
人間の身体の仕組みは複雑で巧みにできている。
それほどに複雑で大きいにもかかわらず、足の先を針の先でちょっとつついても、頭にすぐピンとくる。
すみずみにまで神経がこまかくゆきとどいて、どんなところのどんな小さな変化でも、間髪を入れずに頭に知らせる。
だから機敏にして適切な行動もとれる。
人のつくったいかなる組織もピンとくる間髪を入れずの反応が示せるかどうか、もう一度思いをめぐらしたい。
まさに、万人に問うべきことではないか。
国家のような大きな組織もそうだが、家庭という小さな単位の組織であっても、これは真実である。
自分で学ぶだけでなく、次の世代にも伝えていきたい。
※2014年2月に書かれた記事です。