『新しい市場のつくりかた—明日のための「余談の多い」経営学』は不思議な...

『新しい市場のつくりかた—明日のための「余談の多い」経営学』は不思議な本

近所の本屋に立ち寄り、ビジネス書のコーナー(狭い)をざっと眺めていたら、どこかで見たことのあるような表題の本が1冊、目に入った。

推薦をしているのが、東大の藤本隆宏教授である。

著者の名前をじっと眺めていて思い出した。

 

東洋経済オンライン(だったと思う)で楠木建氏と対談していた人ではないか。

その当時ちょっと関心があったので、この本の「なか見検索」などもやった覚えがある。

偶然の出会いに感謝して購入した。

 

『新しい市場のつくりかた—明日のための「余談の多い」経営学』(三宅秀道、東洋経済新報社)である。

商品の価値の創造が、すなわち市場の創造になる。

そのためには生活習慣、価値観、文化を開発していかなければならない。

 

このような壮大な考え方を主として、中小企業を中心とした多くの成功事例を示しながら、やさしい語り口で述べた本である。

読了して、著者の言わんとしているところが納得できたと思う。

ただ、事例が多く、語り口がやさしいのに、なぜかすぐに理解できない部分が多いのである。

 

例えば、途中まで読んで、中断して、また元のページを開いたとき、「何の話だったっけ」と2、3ページ戻らなければならない、といった具合である。

腑に落ちないまま別の話に移ってしまった、と思っていると、また元の話に戻るということも少なからずあった。

最後まで読んで、目次を見返してみると、何とすべてのエピソードが思い出せるのである。

 

途中で止めたら「結局何だったんだ」ということになりかねない。

中断せずに一気に読むことが必要である。

サブタイトルに「余談の多い」とあったが、なるほどそのせいで迷子になるのかと思う。

 

犬の散歩で、いつもとは違う細い道に入り込み、「あれ?道に迷ったのかな?」と思っていると、いつもの道に出ているということがよくある。

そんな不思議な本である。

※2013年11月に書かれた記事です。


1948年東京生まれ 石田厚子技術士事務所代表 東京電機大学情報環境学部特別専任教授 技術士(情報工学部門) 工学博士 ◎東京大学理学部数学科卒業後、日立製作所入社。コンパイラ作成のための治工具の開発からキャリアを始める。 5年後に日立を退職し、その後14年間に5回の転職を繰り返しながら、SEなどの経験を通じてITのスキルを身に着ける。その間、33歳で技術士(情報工学部門)取得  ◎1991年、ソフトウエア開発の生産性向上技術の必要性を訴えて日立製作所に経験者採用。生産技術の開発者、コンサルタントとして国内外にサービスを提供  ◎1999年 企画部門に異動し、ビジネス企画、経営品質、人材育成を担当。57歳で「高い顧客満足を得る商品開発への影響要因とその制御」論文で工学博士取得  ◎2007〜13年、日立コンサルティングでコンサルタント育成に従事。「技術者の市場価値を高める」ことを目的とした研修を社外に実施  ◎2013年 65歳で日立コンサルティングを定年退職し、石田厚子技術士事務所を開業。技術者の市場価値を高めるためのコンサルティングと研修を実施  ◎2014年 東京電機大学情報環境学部の特別専任教授に就任