『品質でもうけなさい』8-3.外注の管理レベルが低い
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8-3.外注の管理レベルが低い
組立あるいは最終検査のみを実施して出荷しているような工場では、外注(供給業者)が納入する部品・材料の不良が多いということでよく相談を受けます。
例えば、外注さんの規模が小さすぎて、最低限の管理もできないくらいレベルが低いという場合があります。
【問題10】 外注部品の不良が多くて、頻繁にラインが停止してしまう。
不良が出ると、さっそく相手を呼び出します。
やってくるのは汚れた作業服を着た社長さんというイメージです。
まずは不良の現品を見せて事実を確認させます。
その後、当面の生産・出荷に支障が出ないようにしなければなりませんから別室で打合せが始まります。
あなたは、初めは冷静に社長さんと話をしていますが、だんだん頭に血が上ってきて声が大きくなります。
見てください、社長さんの情けなさそうな顔。
おそらく、不良品を納めてしまったことより、あなたを怒らせたことを問題と思っているはずです。
こうなってしまうと、社長さんの頭の中には、もはや、この打合せが無事に終わってほしいということだけしかありません。
あなたがいくら熱心に、不良のせいで出荷できない状況を説明しても、黙ってうつむくばかりです。
その内に話すのも疲れてきて、双方口を閉ざしたまま時間がムダに過ぎていきます。
……とまあ、毎回毎回この繰り返しで、あなたのストレスだけが溜まっていきます。
この問題に対するアドバイス。
もともとこんな会社と取引契約を結んでしまったこと自体が誤りなので、今さらカッカしてもムダです。
解決策はとりあえず取引をやめることと、契約前に行っている調査基準を見直して再発防止を図ることくらいですね。
やむを得ない事情でどうしても取引を続けなければならないなら、いわゆる埋没費用と同じ扱いをするしかありません。
あらかじめ不良ロスを見込んだ利益計画・生産計画を組んでおくべきでしょう。
残念ながら、アドバイスとしてはその程度です。
カッコイイ問題解決の話なんてありません。
……
……
それでも、不良をなくして欲しいと思いますか?
もし本当にそう願っているならば、この問題に対する考え方が今のままではいけません。
お分かりと思いますが、こういう会社のほとんどは日常生活の延長で工場を経営しているようなもので、目先の利益しか見えていません。
改善とか管理などというものとは無縁なところで、日銭を稼ぐので精一杯の仕事をしているのが普通です。
そのような会社に、いくら顧客満足だ経営品質だなどと高尚な説教をたれても通じるわけがありません。
そのようなギリギリの取引関係の中で、ただ顧客側の論理だけを振り回しても問題解決にはなりません。
まず、相手の会社は、とにかくもうからなければお話にならないと考えていますから、品質を改善すればもうかるんだということを理解させることが先決です。
おそらく、乏しい知識の中で、品質改善=検査という間違った固定概念を持っていると思いますから、焦らず時間をかけて考えを改めさせなければなりません。
次に、品質改善の動きが出てきたら、積極的に指導・援助を行って協力を惜しまないことです。
このお客さんと付き合っていると品質が良くなってもうかるという意識になってくれば、この問題は自ずと解決へ動き出します。
ただし、実務担当者がこのような活動をするためには、マネジメントの強力なサポートが不可欠です。
楽屋裏話 by『面白狩り』編集長
外注のレベルアップは、社内のレベルアップと同じくらい大きなテーマです。
決して担当者だけで動けるものではありません。実際に改善活動を進めるに当たっては、マネジメントが部品品質についての方針をしっかり決めて、改善目標とマスタースケジュールを作り、推進体制も確立して進めなければいけません。
相手は異なる法人です。
中には職人気質で頑固一徹な会社もあれば、自社より技術面で優れている会社もあるでしょう。
お客様づらして、指導してやるなんていう姿勢では決してついてきません。
お互いにWINを目指す考え方をしなければ成果を上げることはできません。
ところが多くの場合、マネジメントは部品品質をそこまで大きく考えませんから、むしろ、このサポートを得るのが一番難しいかもしれません。