『品質でもうけなさい』7-2.対策はアイディアが勝負
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7-1.最初から管理を考えるな
問題にもよりますが、対策というのは原因究明や管理に比べたら、それほど難しいものではありません。
そのコツを簡単に紹介しますが、実戦に活用しなければ単なる知識に過ぎません。
大いに問題解決を繰り返して経験を積んでほしいのです。
(1)定石をヒントにして考える
では、対策を考える場合には、分析をするときと同じような手法とか管理ツールはないのかというと、必ずしもそうではありません。
改善の定石のようなものがあって、これをヒントにして考えれば、慣れていない人でも良いアイディアを出すことができます。
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例えば、3SとかECRSは、よく知られているポピュラーなものです。
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……と、それも間違いではありませんが、3Sとは
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の3つのSで、欧米では古くから改善の指針として使われています。
ECRSは
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の4つの単語の頭文字です。
横文字が苦手な人は ナクス・ナガラ・トリカエ・ヤサシク の4つで、「ナナトヤ」と覚えると良いでしょう。
このナナトヤを物語風に解説した『改善提案名人に挑戦!』というコンテンツを同じサイト内で用意していますから、参考にしてください。
みなさんがよく知っている5Sも対策を考えるヒントとして使えます。
お馴染みの言葉ですから、どんどん利用していきましょう。
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5Sの意味をただ紙に書いて、色が変わるまで壁に貼っているだけでは宝の持ち腐れですよ。
この他にも、ポカヨケや見える化、IT化などの考え方も対策の指針を提供してくれます。
簡単な問題なら、定石を駆使することでほとんど対策できると思います。
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ここで一つ一つ説明はしませんが、実戦でどんどん使いこなせるようになってください。
(2)みんなで知恵を絞る
アイディアは質より量と言います。量が質を生むとも言います。
したがって、対策を一人だけで考えるより、仲間と一緒に考えた方がたくさんのアイディアを出せますから、良いに決まっています。
また、決して一人で結論を出さないこと。
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どんなグッドアイディアも、具体化する前に必ず仲間と相談してみることが大切です。
その方がより効果的で現実的なアイディアに発展できるからです。
参加型のアイディア発想法でブレーンストーミング という方法がよく知られています。
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上手に活用している会社もありますが、名前は知っていてもやったことがないという会社も意外に多いようです。
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発想法どころか問題解決にすら慣れていない職場で、参考書を読んだだけでやれといってもムリな話です。
特に注意しなければならないルールの一つに批判をしないということがありますが、これがみなさんなかなかできません。
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したがって、会議の中にちゃんとした指導を受けた人や経験豊富なベテランメンバーを必ず入れて、進行を調整してもらうようにします。
さもないとただ言いたいことを言うだけの締まりがない井戸端会議になってしまいます。
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また、意見を出し易くするために、欠点列挙とか希望列挙という方法が取られたり、カードを使ってアイディアを集める方法もよく行われます。
最低でも50くらいの意見が出なければブレーンストーミングをやる意味がありません。
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忘れてはならないのは、列挙されたアイディアや意見を後々の検討に使えるように集約しておくことです。
慣れていない人はこの詰めを怠って失敗してしまいます。
アイディアの集約には親和図法という方法がありますが、あまり杓子定規に考えるより、「なんとなく」似ている意見を集めてまとめていった方が上手に集約できるようです。
他にも、さまざまな参加型の検討の方法がありますが、ブレーンストーミングが使いこなせれば問題解決では十分です。
(3)アイディアにはいくら金がかかっても良い
対策のカギとはいえ、アイディアなんて所詮は頭の中だけのことです。
実際には存在しませんから何の制約もありません。要するに何でもありなんです。
制約がありませんから、金に糸目をつける必要は全くありません。
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どんなに高価なテクノロジーを使っても構わないし、それこそ鉄腕アトムやドラえもんの世界の話でも良いのです。
本を読まない人はなぜなぜの繰り返しみたいな論理思考は苦手ですが、こういうマンガチックなおとぎ話なら得意だろうと思うと、これまた、困った顔をして互いに顔を見合わせている。
どうもみなさん職場でバカ話をすることには抵抗があるようですね。
改善というと、何やらカッコイイ意見を言わなくちゃいけないような気持ちになるんでしょうか。
みなさんにもっと仕事の中に「遊び心」を持ってほしいのです。
仕事がつまらなかったら、どうしたら面白くなるかを考える。
面白いから仕事がはかどる。
実際、仕事のできる人ほど遊び心があって発想も豊かです。
アイディアも同じ。
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自分で思いつかなかったら、他人のアイディアに便乗してもOK。
出てきたアイディアを面白がって、大いに悪乗りするくらいが丁度いいのです。
大丈夫。
アイディアにいくらお金をかけても、会社の収益に実害はありませんから、どんどん悪乗りしてグッドアイディアを生んでください。
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楽屋裏話 by『面白狩り』編集長
日本人の横文字を使いたがる心理。ただカッコつけたいだけなのか、相手を煙に巻こうとしているのかよくわかりませんが、コンプライアンスというのも最近やけに気になる横文字の一つ。
遵守とか準拠とか、ちゃんと日本語を使えないのかと文句の一つも言いたくなります。国語力がないとデータの分析や意見の集約もできません。
標準化を進めてしっかりとルールを遵守して、問題を未然に防止するというのが、昨今の品質保証の大きな流れになっています。
ルール遵守はとても大事なことです。
しかし、その半面、どうもお役所仕事的で、改善に際して自由に発想しにくい堅苦しさを感じます。品質問題を検討しても面白くない。
仕事が面白くないと、人はルールを守らなくなります。最近の世の中を見ていると、お役所仕事がその典型のように感じませんか?