『品質でもうけなさい』5-1.データで把握しデータで語る
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5-1.データで把握しデータで語る
問題解決のやり方というのはいろいろな考え方・アプローチがありますが、シンプルに下のような基本手順に沿って、実戦のポイントをお話しします。
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5章は、まず、1.問題の見える化、2.成果目標の設定についてお話します。
最初の最初に、問題というのは理想と現実との差のことだと言いました。
品質についての問題と言えば、理想は不良ゼロであり、現実は不良が多いとかクレームが多いといったものでしょう。
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では、具体的に何のどういう不良がどれくらい多くて、
そのためにどんな損失を生み出しているのかと突っ込んで聞かれると……
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問題をデータで把握しデータで語ることは、問題解決の最低条件と思ってください。
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ただし、データもよく考えて収集・分析しないと、問題解決につながらないことがあります。
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例えば、2-4.品質は件数では見えないでお話したように、品質を件数で捉えて一生懸命分析しても本当の問題は見えてきません。
データはウソをつくことがあるということも忘れないでください。
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こういう人は、データより自分の目で見た方が間違いないと信じています。
現場にこそ問題解決のカギが潜んでいますから、私も現場は大好きです。
しかし、人間の五感なんて簡単にだまされてしまうので、肉眼で確かめれば間違いないとは思いません。
実際、視覚なんてホントいい加減ですよ。
下は簡単な錯視の例ですが、横長の直線部分は全く同じ長さですが、一見したところでは上の方が長いように感じます。
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次の例は、右側の男性が大きく感じられますが、実は左の女性と同じ寸法です。
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こういう落とし穴が現場にはたくさんあります。
例えば、リミットスイッチのストッパー位置が違うのに、目測で正しいと勘違いして不具合が起きていたことがありました。
きちんと計測してデータで判断していなかったのです。ひらめき一辺倒や思い込みは危険です。
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データを踏まえた3現主義(現場・現物・現実)
……これが大切です。
楽屋裏話 by『面白狩り』編集長
生産改善のコンサルタントというと、一部の会社では、とにかく現場に出て問題点をガンガン指摘して、ビシバシ従業員の尻を引っぱたいて改善をさせる……なんていうイメージがステレオタイプになっています。
それこそ、データ解析の話をしただけで、工場長を始めとして一斉にブーイングの嵐にさらされたこともあります。でも、そんなふうに簡単に解答欄を見せて、人材が育つのかどうか……?
もちろん机上で議論するより、現場に出て問題を実感する方が良いに決まっています。さらに、いろいろな角度から問題を捉えることで、より問題の本質が見えてきて、解決のヒントがつかみ易くなります。
改善を一人でやるよりグループでやる方が良いのは、他人の意見、自分と異なる見方・考え方を参考にできるからです。
データも同じ。自分で勝手に思い込む前に、客観的に問題を眺めてみる。これが非常に大切なのです。