『品質でもうけなさい』3-4.検査をすれば品質が良くなる?
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3-4.検査をすれば品質が良くなる?
【問題5】検査人員を増やしてしっかりと検査しているのに、品質は一向に良くならない。それどころか、検査の人件費が経営を圧迫し始めた。
よくある話です。
もちろん、品質が良くならないからといって、いま検査人員を減らすわけにはいかないでしょう。
不良品がお客様の手に渡ったらもっと大きな損失になってしまいます。
なぜ、検査をするのだと思いますか?
……不良対策と言えば、検査しか思いつかない?
そんなに検査がお好きなら、どんどんやりなさい……
このままで、会社は大丈夫でしょうか?
って、なんかこれ、本末転倒の話だと思いませんか?
元々、品質が良ければ、こんなに検査人員を増やす必要なんかないはずです。
検査設備に投資するくらいなら、品質向上にお金を使うべきです。
それともうひとつ。これは本当の検査とは言えません。
不良品を見つけ出して取り除くのは、検査ではなくて単なる選別です。
では、検査とは何か?
よく言われることですが、品質は工程で作りこむものです。
決して検査でできあがるものではありません。
検査とはちゃんと品質確保できているかどうか確認することであって、初めから不良が出ないように改善してしまえば、とりあえず不要になります。
さて、品質改善して不良品がほとんど出なくなりました。
……って、考えてますか?
実は、これでもまだ100%正しいとは言えません。
たとえ不良が出ないように改善しても、検査をやめてはいけないことの方が多いのです。
なぜか?
検査というのは、お客様との契約事項だからです。
コストダウンになるからと検査を勝手にやめれば、それは契約違反になってしまいます。
その結果がどうなるかはみなさんもよくご存知でしょう。
賞味期限というのは消費者との契約事項ですから、それを無視してはいけません。
検査は、正しい品物であることを実証して、品質を保証するために行います。保証とはお客様との契約事項です。
つまり、検査とは保証そのものなのです。
検査は、お客様が認めない限り省略することはできません。これは、お客様が同じ職場の後工程でも同じです。
おわかりですか? 品質ではなく、保証にコストがかかるのです。
品質保証
品質が確保されていることをうけあうこと。品質を保証するためには必ずコストがかかり、そのコストは勝手に削減することはできません。
品質管理
品質を向上し確保するために行う活動のこと。やり方がまずいとコストが増大し、上手に行えばコストが削減できます。
お客様が無検査を認めるのは、本当に品質を信頼していただいている場合だけです。
そのような良好な取り引き関係を確立するためには、気が遠くなるくらいの多くの時間と営業努力が必要です。
お客様と直接顔を合わすことはありませんが、製造現場で働く人たちも重要な営業活動を担っているということを決して忘れないでください。
楽屋裏話 by『面白狩り』編集長
工場でものづくりをしていても、常にお客様と向き合っていることを忘れてはいけません。
もし、これが精神論に聞こえるとしたら、商売を忘れているとしか言いようがありません。
おまえが作ったものなら、検査しなくても良いものだとわかると言われるのが、本当のプロのものづくりというものです。