『品質でもうけなさい』3-1.改善は現場の仕事ではない?
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3.品質保証とはどういうことか?
今度は、実務の話をしましょう。といっても、やはり最初は用語の意味についての話です。
焦らない焦らない。
用語を正しく理解しているといないとで、改善の進め方に大きな差が出てくるからです。
3-1.改善は現場の仕事ではない?
【問題3】実際の現場はものづくりで忙しいのだから、改善なんて品質保証とか生産技術のようなスタッフでやって欲しい。
彼は製造部の所属です。そして、自分はちゃんと責任を果たしていると言っています。
さて、それでは製造部の責任とは何だと思いますか? ……その前に、「責任」て何だと思いますか?
責任とはやるべき仕事のことです。
では改めて、製造部の責任。つまり、製造部がやるべき仕事とは何でしょう?
十中八九、そういう答えが返ってきますけれども、残念ながらこれでは不十分。
品物を作りさえすれば、責任を果たしたと言えるのでしょうか?
注文と違う品物でも欠陥品でも品物には違いありません。
それに、納期に遅れようが、人手と時間をいくらかけようが、ものづくりはものづくりです。
生産管理ではよく、Q・C・Dを改善しなさいと言われます。
まるで、改善活動のために言っているように聞こえますが、これは製造の仕事そのものです。
製造部の責任とは図面通りの品物を計画通りに効率よく作ること
……これが正解です。
この責任を果たすことにより、製造部は利益に貢献できるわけです。
改善も製造部の仕事のひとつであることが、これでわかったでしょう。忙しいから改善しないというのは、製造部の責任を果たしていないんですよ。
楽屋裏話 by『面白狩り』編集長
実は、実務担当者だけでなく、経営者も改善を仕事の一部とは考えません。
ほとんどの経営者が、金をかけないで生産性を上げるのが良い改善と思っていますから、例えば、QCサークルなどは時間に余裕があるときや時間外にやるのが普通です。
改善投資といってもせいぜい小規模な報奨制度でお茶をにごすくらいで、基本的には愛社精神に基づくサービス行為という捉え方が、どこの会社でも当たり前です。
しかし、改善は明らかに業務の一部ですから、これでは会社が従業員にただ働きをさせているのと同じ……ということを言ったら、それだけで猛反発どころか「赤」という烙印を押されそうになって、いやな思いをしたことがあります。
ところが、先日の新聞で、トヨタが改善活動にも残業手当を出すことにしたという記事が載り、他社もこれと同様の方向で検討をしているという話を聞いて、ようやく改善の本来の価値が認められてきたようです。
改善は仕事の片手間に遊び半分で行うものではありません。会社の発展、利益向上につなげるための真剣勝負です。