『品質でもうけなさい』2-3.品質の良い会社は生産性も高い
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2-3.品質の良い会社は生産性も高い
生産性というのは生産の効率のことです。効率とは投入と算出の比率のことで、数値が大きければ効率が高く、小さければ低いことになります。
常識ですよね。
効率=産出(output)/収入(input)
生産性=生産の産出(生産高や生産量、売上高、利益など)/生産の投入(就業人員や資材費、工数、経費など)
生産性改善と言えば、次のような課題がテーマになります。
これらは、言うなれば、生産のインフラ整備のようなもので、問題解決の方法・手段はほとんど研究し尽くされ、標準化もされてきているので、それほど特殊で難しいわけではありません。
当事者がモチベーションを切らさない限り、それなりの成果を出していきます。
ところが、いずれ頭打ちになる時期がやってきます。
真のロス(=品質)が顕在化してくるからです。
改善が真に成功するか否か、ここが最大のヤマ場です。
これまでと同じような業務改善のやり方では、品質問題は解決できません。
このまま成果が停滞したまま手をこまぬいていると、当事者のモチベーションが確実に下がっていきます。
しかし、もっとまずいのは、品質の問題だからといって杓子定規に従来型の品質改革に走ってしまうことです。
つまり、品質を「ものの良さ」と捉え、厳しい検査によって不良の流出を防ぎ、注意喚起で品質を確保しようとするやり方……。
……そこにはもはや生産性という発想はありません。逆に検査コスト増大という生産性向上とは相反する結果が付きまといますから、これまでの改善活動は遅かれ早かれ下火になります。
品質とはロス(損失)であることを知っていれば、このような精神論的品質改革がいかにばかげているか容易に理解できるでしょう。
品質改善は生産性向上活動として進めなければ意味がありません。
徹底的にロスを削減し、生産性が向上しなければ品質が良くなったとは言えないのです。
不良やクレームを放っておけば、生産性がどんどん低下し、コストが大きくなっていく悪循環に陥っていきます。
逆に品質が安定していれば、それだけで利益に直結していきます。もうけたければ品質問題に真剣に取り組むこと、これです。
楽屋裏話 by『面白狩り』編集長
生産性改革は、目標を明確にして、当事者がモチベーションを切らさない限り、それなりの成果を出すことができますから、コンサルティングもやりやすいテーマです。
また、経営者のホンネを聞くと、ねらいはむしろリーダーのスキルアップであったり、システム導入のためのデータベース構築であったりするケースも多く、長期的なビジョンの中で捉えられています。
ところが、品質改革の場合は、どういうわけか、頭の中に品質を向上するには金がかかるという固定観念があり、さらに、検査や注意喚起になんで外部の指導が必要なんだ?という意識も強いようです。
生産性向上の壁に直面している経営者がこのコンテンツを見て、品質改革に対する見方を変えるきっかけになれば良いのですが……。