『品質でもうけなさい』2-2.品質とは「良さ」なのか?
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2-2.品質とは「良さ」なのか?
それでは、ものやサービスの「良さ」をどのように計測し評価しているか? ということについて考えてみてください。
普通は……
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おかしいと思いませんか?
「良さ」を測るのに、なぜマイナス方向に振れる指標が多いのでしょう? なぜ不良率であって良品率ではないのでしょう?
品質とは、「もの・サービスの 悪さ」のことだからです。
……と、ここでいつも半分ぐらいの人が話について来れなくなります。
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……でも、話を続けます。
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そうですよね。
それでは一体 「品質が良い」とは、どういうことを指しているのでしょうか? いま、不良率とコストの関係をグラフにしてみます。
不良が多ければ多いほど、修理や廃棄の費用が増加しますから右肩上がりの直線になります。
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一方、検査や不良対策に費用をかければ、不良は減少するでしょうから、反比例のグラフになります。
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この2つのグラフを組み合わせた曲線が、不良率とコストの関係を示します。
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普通、不良率が低ければ品質は良いとされます。
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ところが、実際は、不良率が低くなりすぎると、そうとも言えなくなってきます。
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「過剰品質」なんて言い方もされますが、コストが高すぎると、たとえ不良ゼロであっても品質が良いとは言いません。
おもしろいことに、みなさん無意識に、品質を評価する時にはコストという明確な基準で考えています。
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つまり品質が良いとは、「コストが低い」ということなのです。
ここまでの話を整理しましょう。
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品質改善というのはコストダウンと同じ意味です。
不良処理に追われて生産性向上ができないなんていうのは、ただの言い訳に過ぎないことが、これでわかったでしょう。
楽屋裏話 by『面白狩り』編集長
品質=損失というのは非常に重要なポイントなのですが、多くの人が頭の切り換えができません。
相変わらず品質を「ものの良さ」なんていう曖昧な概念で、コテコテに塗り固めているのです。
中身を知っているかどうかはともかくとして、品質工学という手法を聞いたことがある人は少なくないでしょう。
アメリカでは創始者の田口玄一先生の名前を取ってタグチメソッドと呼ばれています。
この品質工学における品質の定義が、品質を最も的確に説明していると思います。
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まさに、そのものズバリの定義です。